トークン化資産を巡る争点は、採用チェーンそのものより決済インフラとの接続性にある。写真=Reve AI

米国の証券決済・保管機関DTCCが、Stellarネットワークを活用したトークン化資産の展開拡大を打ち出したことで、一部ではXRPが排除されるとの見方が出ている。ただ、市場関係者の間では、今回の動きをXRPやRippleに対する直接的な悪材料とみるのは早計だとの声もある。

ブロックチェーンメディアThe Crypto Basicが5月28日(現地時間)に報じたところによると、暗号資産業界の創業者ジェイ・ニスベット氏は、DTCCの最近の動きについて、特定のブロックチェーンを「勝者」として選別するものではないとの見方を示した。むしろ、複数のパブリックブロックチェーンを接続する相互運用性の拡大戦略に近いと指摘している。

発端となったのは、DTCCが2027年までに、DTCの受託資産のトークン化をStellar基盤で拡大する方針を明らかにしたことだ。DTCCはStellar Development Foundationと連携し、デジタル資産の発行やトークン化を支援する体制を整備するとともに、相互運用性を強化した金融インフラの構築を進めると説明した。あわせて、単一チェーンに依存しないマルチチェーン戦略の一環であることも強調している。

これに対し、ニスベット氏はStellarを複数の選択肢の一つと位置付ける。DTCCがすべての仕組みを特定ネットワークに集約するのではなく、XRP Ledger(XRPL)やEthereumも検討対象となり得るチェーンだとの見方だ。

同氏は、トークン化金融の中核的な価値は単なる資産発行ではなく、決済と相互運用性にあるとみている。ステーブルコインと同様、資産がどのチェーン上に存在するか以上に、複数ネットワーク間で自由に移動し、接続できる構造の方が重要だという。

また、米株式市場の実質的な決済インフラは依然としてDTCCが握っている点も強調した。Stellarなどのパブリックブロックチェーンは、取引や流動性を補完する追加レイヤーとして機能する一方、最終的な清算と決済はDTCCの内部システムで処理されるとの見方だ。この構造を前提にすれば、Stellar採用が直ちにXRP排除やRippleの弱体化を意味すると断定するのは難しいとしている。

Rippleの機関投資家向け戦略についても、競争力は維持されているとの評価を示した。ニスベット氏は、Ripple PrimeとRLUSDを同社の中核事業と位置付け、年初に買収したHidden Roadについても、米国の証券清算エコシステムにつながる重要資産だと説明した。

さらに長期的には、Ripple Primeを通じた機関の財務管理、RLUSDの担保活用、Chainlink基盤の相互接続、DTCCと接続された決済構造へと発展する可能性があるとの見方も示した。トークン化資産市場の主戦場は、単なる発行機能ではなく最終決済ネットワークにあるという認識だ。

規制面でも、DTCCにはなお実証の余地があると分析した。ニスベット氏は、DTCCが米証券取引委員会(SEC)から一部のトークン化資産サービスを試験できるノーアクション・リリーフを確保したと主張。これにより、StellarやXRPLなどのパブリックブロックチェーンを並行して試験できる余地が生まれたとしている。

加えて、DTCCの特許の中には、XRPLとXRPのクロスチェーン流動性の互換性に言及した事例があるとも主張した。DTCCのパイロットプログラムが2028年まで続く予定である点にも触れ、このスケジュールが政治情勢の変化に左右されず、ブロックチェーン統合作業を継続するうえで一定の安定性をもたらすとの見方を示した。

DTCCのStellar協業を巡っては、これがXRP排除のシグナルに当たるのかを巡る議論が続いている。ただ、現時점で明らかになっている情報を見る限り、今回の動きの主眼은特定チェーンの優劣ではなく、マルチチェーン環境での相互運用性確保とデジタル決済インフラの拡充にあるとみられる。

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