写真=Celeste Ecoplyers/Defence Blog

フランスの航空宇宙スタートアップ、Celeste Ecoplyersは、空気注入式の繊維翼を採用した実験用貨物ドローン「dAS10」の初期飛行試験を実施した。金属製の剛体構造ではなく、空気圧で翼形状を保つ構造を採用しているのが特徴だ。

TechRadarによると、同社は5月28日、フランス・ルアーブル空港でdAS10の短距離離陸試験を行ったという。

dAS10は、従来の貨物機で用いられるアルミニウム製のスパーやリブの構造を、空気注入式の繊維翼に置き換えた機体だ。見た目から飛行船のように浮力で飛ぶ機体と受け取られがちだが、同社によれば、飛行原理は通常の航空機と同じく空気力学的な揚力によるものだという。

同社は「揚力は浮力ではなく空気力学によって生まれる」と説明しており、空気圧はあくまで翼の構造維持に使われるとしている。

今回の試験飛行は数秒間の低高度飛行にとどまったものの、空気式翼だけで制御飛行に必要な揚力を確保できることを確認した。同社は、機体重量を上回る試験用ペイロードも搭載したと説明しているが、具体的な搭載比率や第三者による検証データは公表していない。

業界が注目しているのは、飛行性能そのものよりも運用面での利点だ。同社によれば、空気式翼は使用後に空気を抜いて折り畳み、圧縮できるため、剛体構造の貨物機に比べて輸送や展開の負担を大幅に抑えられる可能性がある。

一般的な貨物機は移送や整備、配備に専用設備や施設を必要とするが、空気式構造であれば、現場インフラへの依存を下げられる可能性もある。

用途としては、防衛や災害対応の分野での活用が注目されている。通常の航空支援が難しい遠隔地や厳しい環境でも、機材や補給物資を運ぶ際に、折り畳んで搬送し、現場で迅速に展開できる点が利点とされる。

整備面でも、複合材機より簡便な工具で補修でき、専門的な整備負担を抑えられる可能性があるという。

また、レーダー反射特性も関心を集めている。同社は、繊維ベースの構造が既存の金属製機体や複合材機とは異なるレーダー信号を生む可能性があり、防衛分野でも関心を集めていると説明した。戦場環境では、無人機のレーダー上の視認性が生存性に直結する要素とみなされている。

もっとも、dAS10はまだ初期段階の試作機にすぎない。Celeste Ecoplyersも追加試験の必要性を認めており、現在は重量バランスや飛行制御の応答性に関する調整を進めているとしている。

業界では、この技術の成否は構造の新規性そのものではなく、実環境で運用効率と耐久性をどこまで実証できるかにかかっているとの見方が出ている。空気式翼が既存の貨物ドローンに対して実用性と経済性を示せるかどうかは、今後の追加試験や長期運用データが判断材料となりそうだ。

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