暗号資産企業の上場判断が市場環境やビットコイン相場に左右されやすい状況が続いている。写真=Shutterstock

暗号資産運用大手Grayscaleが、市場環境の悪化を理由に新規株式公開(IPO)計画を見送ったもようだ。投資家需要の鈍化やビットコイン相場の変動、取引低迷を背景に、暗号資産関連企業の上場延期が相次いでいる。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが28日(現地時間)に報じたところによると、足元では投資家のリスク選好が弱まり、暗号資産企業を巡るIPO日程の後ろ倒しが広がっている。

Grayscaleは2025年7月にS-1を非公開で提出し、同年11月にこれを公開した。NYSEへの上場を目指し、ティッカーシンボルには「GRAY」を予定していたが、2026年5月末時点でIPOは実施されていない。

提出書類によると、2025年1〜9月の売上高は3億1870万ドルで、前年同期比20%減だった。純利益は2億330万ドル。運用資産は約350億ドルで、主力商品はGBTCとETHEという。

上場を取り巻く市場環境は厳しい。投資家需要の弱まりと相場変動が続くなか、Grayscaleは上場を急がない姿勢を示しており、市場ではIPO計画をいったん停止したとの受け止めが広がっている。

こうした動きはGrayscaleにとどまらない。Krakenも2025年11月に非公開で上場関連書類を提出したが、2026年3月に準備作業を停止した。数十億ドル規模の企業価値を視野に入れていたものの、市場環境の弱さを理由に上場時期を2026年末以降、または2027年へ先送りした。

Consensysは少なくとも2026年秋以降へ日程を延期し、Ledgerは上場検討そのものを取りやめた。2025年のCircleの上場成功で高まった期待が、2026年に入って急速にしぼんでいることを示している。

背景には、ビットコイン価格と暗号資産企業の業績が高い連動性を持つことがある。暗号資産相場の調整に加え、現物ETFからの資金流出も重なり、高成長銘柄に対する選好は低下している。各社は性急な上場より、事業基盤の安定を優先している。

事業構造の変化も不確実性を高めている。高い手数料収入に依存してきた既存商品は、より低コストのETFとの競争に直面している。一方、ステーキングやカストディーなどへ収益源を分散している事業は、業績の下支え要因になり得るとの見方もある。

規制面でも、米国では市場構造を巡るルール整備がなお十分に進んでいない。市場では、ビットコイン相場の安定や政策面の節目を見極めながら、2026年10〜12月期や2027年にIPO市場が再び開くかどうかに注目が集まっている。

こうしたなかでも一部企業は上場準備を進めている。Blockchain.comは最近、非公開で上場関連書類を提出した。ただ、市場では企業規模そのものより、財務の健全性や実利用者基盤の厚みを重視する傾向が強まっている。新規上場の地合いが戻ったとしても、強いバランスシートと実需に支えられた企業が先に評価される可能性が高い。

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