中国の電気自動車大手BYDは、自社開発した4ナノメートル(nm)プロセスの車載チップ「Xuanji A3」を発表し、量産を始めた。バッテリーや充電技術に続いて車載半導体の内製化も進め、垂直統合型の供給網構築をさらに加速させる。
米電気自動車メディアのElectrekによると、BYDは28日までに開催したインテリジェント戦略発表イベントで、Xuanji A3を公開した。
Xuanji A3は、BYDが独自に設計した4nmプロセスの運転支援向け半導体。王伝福CEOは、同チップがレベル3およびレベル4の自動運転に対応し、中国の自動運転向けチップとして最高水準にあると強調した。
同社は、チップ単体の性能だけでなく、車両アーキテクチャとソフトウェアを一体で最適化する戦略も打ち出した。自社開発の先進運転支援システム(ADAS)「God’s Eye」と、Xuanjiアーキテクチャ、関連アルゴリズムを統合することで、演算効率を100%高めたとしている。
また、3チップ構成では総演算性能が2100TOPSを超えると明らかにした。
今回の発表で注目されるのは、このチップを外部の半導体メーカーに頼らず自社開発した点だ。多くの完成車メーカーがNVIDIA、Qualcomm、Mobileyeなど外部サプライヤーの技術に依存するなか、BYDは車両の中核部品の相当部分を社内で賄う体制を築いてきた。
王伝福CEOは、BYDについて、運転支援分野のサプライチェーンを一貫して掌握する世界で唯一の完成車メーカーだと主張した。こうした垂直統合戦略が、コスト削減や技術の高度化、新車開発のスピード向上につながると説明している。
BYDは半導体の内製化を長期にわたって進めてきた。2002年にコンピュータチップの専任部門を設立して以降、これまでに2000種類を超えるチップを開発したという。
現在は5つの半導体ウエハー工場を運営しており、半導体分野への累計投資額は1000億元を超えたとされる。研究開発人員も7000人以上に達している。
最近では、車両の中核技術における自社開発の領域を急速に広げている。3月の技術イベントでは、「ブレードバッテリー2.0」とフラッシュ充電システムも公開した。
同社は当時、中国のCLTC基準で1000km超の航続距離と、最短5分の急速充電性能を示していた。
業界では、今回のXuanji A3の発表について、単なる車載チップの投入にとどまらず、BYDがバッテリー、充電、自動運転向け半導体までを網羅する総合技術企業へと変貌しつつあることを示す事例だとの見方が出ている。
世界の完成車メーカーの多くが依然として中核半導体の供給を外部企業に依存するなか、BYDは広範な領域で自社調達体制の構築を進め、差別化を図っている。電気自動車市場で、技術実装のスピードとコスト競争力の両面で優位性を高められるかが今後の焦点となる。