焦点は規制緩和そのものではなく、制度を法制化して定着させられるかにある。写真=Shutterstock

トランプ米大統領は、米国の暗号資産市場を巡る規制の枠組みについて、政権の方針ではなく法律として定め、将来の政権交代後も覆されない制度にすべきだとの考えを改めて示した。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが、28日(現地時間)に報じた。トランプ氏は、米国のデジタル資産ルールを「future-proof」にすると強調し、議会による立法の必要性を繰り返し訴えたという。

今回の発言のポイントは、規制緩和そのものではなく、その方向性を法律で裏付ける点にある。足元の親業界的な政策は、トランプ氏が指名した規制当局トップの執行方針に大きく依存しているためだ。

次の政権で人事が入れ替わり、執行の優先順位が変われば、現在の政策運営も揺らぐ可能性がある。こうした事情を踏まえ、トランプ氏は規制の枠組みを「法律として成文化すべきだ」と主張している。議会を通過した法律として制度を確立し、政権交代の影響を受けにくくする狙いがある。

トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、ゲーリー・ゲンスラー前米証券取引委員会(SEC)委員と反暗号資産派が、ビットコインや暗号資産のイノベーションを海外へ追いやったと批判した。その上で、自身の政権発足後、米国は再び「世界の暗号資産の首都」になりつつあり、開発者や起業家も米国市場に戻ってきていると主張した。

さらにトランプ氏は、「反暗号資産派が覆せない、future-proofなデジタル資産市場構造を法律で整備する」と述べ、「暗号資産を決して失望させない」と強調した。

トランプ氏が改めてゲンスラー氏を名指しで批判した背景も明確だ。ゲンスラー氏は2021年から2025年初めまでSECを率い、Coinbase、Binance、Ripple、Krakenなど主要な暗号資産企業を相次いで提訴した。

当時のSECは、多くのトークンを未登録証券とみなし、既存の証券法の枠内で規制しようとしていた。これに対し業界側は、適切な登録制度が事実上整っていないまま規制圧力だけが強まり、その結果として企業や資金がドバイ、シンガポール、ロンドンなど、よりルールが明確な市場へ流出したと訴えてきた。

もっとも、足元では状況に変化も出ている。SECはポール・アトキンス体制の下で、ゲンスラー時代の執行偏重のアプローチを相当程度見直した。米商品先物取引委員会(CFTC)も、暗号資産や予測市場の分野で存在感を強めている。

司法省も、一部の係争中だった暗号資産関連事件を取り下げた。ただ、こうした変化はいずれも行政府や規制当局トップの方針に基づくもので、立法措置がなければ長期的な安定性を確保しにくいとの見方が出ている。

市場の関心は、CLARITY Actに集まっている。同法案は、どの暗号資産をSEC所管の証券とみなし、どの資産をCFTC所管の商品として扱うか、その基準を定める内容だ。

あわせて、米国の顧客に暗号資産サービスを提供する企業に求められる法的手続き、分散型ソフトウェア開発者の保護、暗号資産企業の破綻時における顧客資金の取り扱い原則も盛り込んでいる。

ただ、立法手続きはなお途上にある。下院は昨年7月に法案を可決し、上院銀行委員会は今月、修正案を採決した。最終的に成立するには、上院本会議での可決と大統領署名が必要となる。

ホワイトハウスは7月4日を目標時期として示しているが、政界では日程に余裕がないとの見方もある。

結局のところ、トランプ氏が掲げる「future-proof」な暗号資産規制の成否は、親業界的な姿勢そのものではなく、それを法律として定着させられるかどうかにかかっている。SECとCFTCの所管の線引き、暗号資産企業が米国市場で事業を行う際の基準、顧客資金保護の枠組みが立法で確定すれば、米国の暗号資産市場は政権交代に左右されにくい制度基盤を得ることになる。

逆に、上院で法案成立に必要なハードルを越えられなければ、足元の規制緩和の流れも将来の政権判断によって再び揺らぐ余地を残すことになる。

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