CHZZKのスポーツページ 画像=Naver

Naverのライブ配信サービス「CHZZK」が、2026 FIFAワールドカップ北中米大会開催の6月の独占オンライン配信に乗り出す。LCKやeスポーツワールドカップ(EWC)、冬季五輪など大型中継でユーザー流入を伸ばしてきた同サービスにとって、今回のワールドカップは成長モデルの再検証の場となる。ただ、焦点は単なる集客ではない。流入したユーザーを視聴時間の伸長や課金につなげ、プラットフォーム内で定着させられるかが問われる。

CHZZKは月間アクティブユーザー数(MAU)でSOOPを上回る一方、総視聴時間やマネタイズ基盤ではなお差がある。加えて、大韓サッカー協会を巡る世論の悪化や代表チームへの関心低下もあり、「ワールドカップ特需」が想定ほど広がらない可能性も指摘されている。

◆LCKで示した成長モデル

大型中継権を軸にユーザーを呼び込む戦略は、今年のLCKで一定の成果を示した。LCKは今年からCHZZKとSOOPのみで視聴できる形となり、両社の配信競争を測る主要コンテンツとなっている。

Naverによると、LCK開幕後の5月1日時点で、CHZZKの累計再生数は5048万回、累計視聴者数は2655万人、最大同時接続者数は33万8000人を記録した。Naverは、公式チャンネルベースの外部指標でもCHZZKがSOOPを上回ったとしている。

CHZZKは2024年5月の正式リリース後、Twitch撤退で生じた空白を取り込み、利用者基盤を急速に拡大した。Naver検索やクリップ、コミュニティとの連携も新規流入を後押しし、大型イベントのたびに利用者が集まる構図をつくってきた。

ワールドカップ向けには、生中継にとどまらない機能も打ち出す。CHZZKは6月から2026 FIFAワールドカップ北中米大会をオンライン独占配信するほか、開幕前の6月10日までは1986年から2022年までの歴代ワールドカップにおける韓国戦の見逃し映像を、「一緒に視聴」機能でも配信する。

「一緒に視聴」は、ストリーマーと視聴者が同じコンテンツを見ながらチャットで交流できる機能だ。導入から約2年で、累計視聴時間は1億4000万時間、累計ライブ配信本数は8万2973本に達した。冬季五輪では、応援用の電光掲示板支援とTTSボイス機能を組み合わせた「一緒に視聴プラス」に発展させた経緯もある。

NaverとNexonが共同で進める「Nコネクト」も、同じ方向を向く取り組みといえる。Nコネクトは、利用者、クリエイター、ゲームをつなぐプロジェクトで、CHZZK内でNexonのゲームを軸にした配信を活性化し、視聴者参加を報酬設計に反映する。Nexonはワールドカップシーズンに合わせ、「FC Online」「FC Mobile」でCHZZKと連動する大規模コンテンツも準備しているという。Naver IDでのログインやNaver Payとの決済連携まで加われば、CHZZKは単なる中継プラットフォームにとどまらず、ゲーム、決済、配信をつなぐ接点へと広がる可能性がある。

CHZZKの狙いは、ワールドカップ中継そのもののヒットだけではない。大型イベントで流入したユーザーを「一緒に視聴」、ストリーマー配信、ゲームIP、決済機能へと回遊させ、プラットフォーム内の滞在時間と転換率を引き上げることが、より大きな課題となる。

◆課題は視聴時間と定着

課題は、流入後の定着にある。MobileIndexによると、今年3月のCHZZKのMAUは306万人で、SOOPの237万人を上回った。一方、同期間の総視聴時間はSOOPが約4250万時間、CHZZKが2850万時間だった。視聴時間ベースのシェアも、SOOPが59.3%、CHZZKが33.4%で差がある。より多くの利用者を呼び込んでいるのはCHZZKだが、利用者が長く滞在しているのはSOOPという構図だ。

この差は、両社のプラットフォーム特性の違いによるものとみられる。CHZZKは大型スポーツやeスポーツ中継を通じて一般層を取り込む強みがある。一方のSOOPは、ストリーマーとファンダムを軸にした支援型の文化や合同コンテンツ、参加型配信を基盤に、利用者を長く引き留める構造を持つ。「星風船」を中心とするSOOPのビジネスモデルとコアファンダムは、視聴時間の確保と課金転換の両面で優位に働いている。CHZZKがワールドカップで新規ユーザーを大量に獲得しても、大会後に定着しなければ、MAUの拡大は一時的な指標にとどまる可能性がある。

さらに、ワールドカップ特有の外部要因もある。大韓サッカー協会に対する否定的な世論が広がっており、「ワールドカップ特需」の効果が薄れる可能性も指摘されている。CHZZKのスポーツ中継戦略は、代表チームの成績や協会を巡る世論といった外部変数も織り込む局面に入った。

LCKでは継続的なファンダムが、冬季五輪では大会そのものの象徴性が追い風となった。これに対し、ワールドカップは代表チームの成績、協会を巡る世論、試合時間帯、ストリーマーの参加度、「一緒に視聴」の活性度など、複数の要因が絡み合うイベントだ。中継権の確保だけではヒットを見込みにくいとの見方が出る背景でもある。

◆収益化につながるか

ワールドカップで流入したユーザーを、プラットフォーム内の別コンテンツや機能にどこまでつなげられるかが、実質的な成果を左右する。「一緒に視聴」、ストリーマー基盤のコンテンツ、Naverエコシステムとの連携が視聴時間の伸長と課金転換に結び付けば、大型中継権戦略は収益化フェーズに進む可能性がある。逆に、大韓サッカー協会を巡る世論悪化と低い定着率が重なれば、大型中継権への投資が一時的なトラフィック増で終わるとの見方も強まりかねない。

CHZZKの成長はこれまで、ユーザー流入の拡大に重心を置いてきた。SOOPがファンダムと支援型の収益構造を基盤に長い視聴時間を確保する中、ワールドカップ終了後のユーザー離脱の速度と課金転換の有無が、下半期のライブ配信競争を占う主要指標になりそうだ。

業界関係者は「ワールドカップのような大型イベントには、プラットフォームの認知度を高める効果がある。ただ、継続的な訪問を生むのは、結局のところストリーマーとコンテンツのエコシステムだ。CHZZKがそのエコシステムをどれだけ早く構築できるかが鍵になる」と話している。

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