起業家のキム・ヨンフン氏が、6月以降にビットコイン(BTC)とXRPが大きく動くとの見方を示した。一方で、市場では同氏のIQに関する主張や過去の相場予測、投資実績の信頼性を改めて疑問視する声が広がっている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、キム氏は26日(現地時間)、X(旧Twitter)に「6月から暗号資産市場は狂乱状態に入る」と投稿し、注目銘柄としてBTCとXRPを挙げた。
その上で、「ビットコインが口火を切り、XRPが世界を驚かせる」「7日以内に動きが出る」とも主張した。投稿内容に沿えば、同氏は6月初旬を相場の転機とみていることになる。
別の投稿では、今回の見通しを「最後の呼びかけ」と表現し、強気姿勢を前面に打ち出した。ただ、市場の関心は見通しそのものよりも、その発言の裏付けに向いている。
キム氏はこれまで、自身が「IQ276」の保持者だと主張してきた。だが、同氏が設立した世界知能協会(USIA)は公開メモで、「USIAはIQスコアを認証しない」と明記している。
外部の専門家からも、IQ276という数値は、現在の標準的な心理測定の枠組みでは統計的に妥当性を示しにくいとの指摘が出ている。
暗号資産相場に関する同氏の予測も、実績面では強気の主張を裏付けていない。昨年末には、ビットコインが45日以内に22万ドルに達すると予測したが、実際の価格は8万〜9万ドル台にとどまった。
今年初めに示した「48時間以内に10万ドル突破」「2026年初に30万ドル」との見通しも実現していない。XRPが2025年末までに史上最高値を更新するとの予測も外れた。
足元の相場も、こうした強気シナリオとは隔たりがある。ビットコインは7万7000ドル台、XRPは1ドル台半ばで推移しており、いずれも短期的には弱含みの展開となっている。
このため、市場ではキム氏の「狂乱相場」との発言について、足元の価格動向とかい離しているとの見方が出ている。
キム氏は今年の投資収益率が487%だと主張しているが、公表された検証資料は暗号資産口座ではなく、外国為替(FX)取引口座ベースとされる。公開データでは、最大ドローダウンは70%超、シャープレシオは0.21水準だった。
高い収益率をうたう一方で、運用は強いレバレッジに依存していた可能性があることを示す内容とも受け取れる。
さらに、FXの取引実績をそのままビットコインやXRPの短期的な方向感の根拠とみなすのは難しい。暗号資産価格は、マクロ資金フローや市場流動性、規制動向の影響を受けやすいためだ。
実際、キム氏の過去のビットコイン取引についても、市場が想定と逆方向に振れた局面で急速に悪化したとされる。
市場では慎重な見方も続いている。ベテランのチャート分析家、ピーター・ブラント氏は最近、ビットコインが夏場にかけて追加調整に入る可能性があると警告した。
マクロ流動性や金利動向、ETFへの資金流入の鈍化を、下期のリスク要因とみる分析もある。
6月初旬は、キム氏の強気見通しが実際の相場に反映されるのか、それとも再び外れるのかを見極める局面となりそうだ。市場では、刺激的な発信よりも、検証可能な実績と実際の価格推移を重視する姿勢が強まっている。