ドナルド・トランプ米大統領は27日、予測市場の監督は米商品先物取引委員会(CFTC)が引き続き担うべきだとの考えを示した。州政府による独自規制には反対する姿勢を打ち出し、暗号資産産業についても米国の戦略産業として保護を続ける方針を改めて示した。
ブロックチェーンメディアのCoinPostによると、トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」への投稿で、予測市場はCFTCが一元的に所管することが不可欠だと主張した。
あわせてトランプ氏は、米国をビットコインなど暗号資産の「世界の首都」にする考えを改めて表明した。「他国がこの地位を奪おうとしているが、そうはさせない」とし、暗号資産を主要産業として連邦政府が保護を続ける考えを示した。
こうした発言の背景には、予測市場を巡る連邦政府と州政府の管轄争いが法廷闘争に発展していることがある。争点は、予測市場の商品を金融商品とみなすのか、それとも各州のギャンブル規制の対象とみなすのかにある。ポリマケット、Kalshi、Coinbaseなどの事業者は、自社サービスは金融商品であり、州ごとのギャンブル法の適用対象ではないとの立場をとっている。
トランプ氏は、マイケル・セリックCFTC委員長について「誰もが認める仕事をしている」と評価した。一方で、ニューヨーク州を含む複数の州が予測市場を独自に規制しようとする動きには強く反対した。
CFTCは今年に入り、州政府との法的対立を強めている。4月2日にはイリノイ、アリゾナ、コネティカットの3州を連邦地裁に提訴し、4月24日にはニューヨーク南部地区連邦地裁にも訴状を提出した。訴訟では、予測市場のイベント契約に関する専属管轄が連邦法に基づきCFTCにあることの確認を求めるとともに、CFTC登録事業者への州法適用の差し止めも求めた。
セリック氏もニューヨーク州の対応を正面から批判した。ニューヨーク州がCFTC登録取引所に州のギャンブル法を適用しようとしていることについて、「連邦法と数十年にわたる判例を無視する」他州の流れに加わったものだと述べた。CFTCは、米憲法上の連邦法優位の原則を根拠に、州政府による規制介入を排除する構えだ。
これに対し州政府側も共同歩調を強めている。ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は4月24日、他の37州の司法長官とともに、マサチューセッツ州がKalshiを相手取って起こした訴訟を支持する意見書をマサチューセッツ州最高裁に提出した。州側は意見書で、予測市場が提供するスポーツ関連ベッティングは州のギャンブル法に従うべきだと主張し、CFTCが排他的に規制すべきだとするKalshi側の主張を退けるよう求めた。
州政府は、ギャンブル規制は消費者保護や未成年者の賭博被害防止、税収確保のために必要だと主張している。一方で、CFTCの監督体制ではギャンブル特有のリスクに十分対応できないとも問題視している。争点は監督権限の帰属にとどまらず、予測市場サービスの法的性格をどう位置付けるかにも広がっている。
トランプ氏の今回の発言は、こうした対立の中で連邦政府の規制方針を改めて明確にした形だ。予測市場の管轄をCFTCに集約し、暗号資産産業を米国の戦略産業として保護し続ける姿勢を同時に示した。今後の司法判断は、予測市場事業者の事業範囲や州政府の規制権限、連邦監督体制の境界線に影響を与える可能性がある。