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SpaceXのNASDAQ上場観測を背景に、暗号資産市場で「SPCX」を巡る先行売買が活発化している。合成無期限先物やプレマーケット契約、予測市場、トークン化株プラットフォームなどで価格形成が進む一方、市場ごとの評価水準には大きな開きがあり、米規制当局の判断が最大の変数として意識されている。

ブロックチェーン系メディアのBeInCryptoによると、SpaceX関連の価格はすでに複数の市場・商品で形成されている。Hyperliquidや主要な中央集権型取引所、予測市場、トークン化株プラットフォームなどがその舞台となっているが、各市場が示す評価は大きく割れているという。

焦点は、株式市場での取引開始前から、暗号資産市場がSpaceXの想定企業価値を先行して織り込んでいる点にある。SpaceXは20日、米証券取引委員会(SEC)にS-1目論見書を提出し、企業価値1兆7500億ドル、調達額750億ドルで、NASDAQにティッカー「SPCX」での上場を目指す方針を示した。

最も早く動いたのはHyperliquidだった。Trade.xyzは18日、SPCX-USDCの合成無期限先物の取り扱いを開始した。

同商品は基準価格150ドルで始まり、数時間で216ドルまで上昇した後、202.89ドル近辺で推移した。実際のSpaceX株の持分が付与されるわけではなく、オラクルの基準価格に連動したロング・ショートのポジションを取れる仕組みだ。

こうした動きは中央集権型取引所にも急速に広がった。Bitgetは22日、最大5倍のレバレッジをかけられるSpaceXのプレIPO無期限先物を投入。OKXは7日、USDT決済型のプレマーケット契約を上場し、BingXは4月10日にSpaceX追跡トークンの提供を始めた。

BinanceにおけるSPCX関連商品の累計取引量も、5月末時点で2億8000万ドルを超えた。Binanceは26日、OpenAIのプレIPO無期限先物も追加し、同種商品の拡充を進めている。

市場では、こうした動きを一過性のテーマではなく、プレIPO段階の取引商品を横展開する流れの一環とみる声が出ている。

予測市場では、単一の価格ではなく、上場後の時価総額レンジに賭ける形で取引が進む。26日時点のPolymarketでは、上場初日の終値ベースの時価総額が2兆〜2兆5000億ドルとなるシナリオの確率が39%と最も高かった。

次いで多かったのは、1兆5000億〜2兆ドルのレンジで26%だった。S-1で示された目標値を上回る水準であり、市場が初日時点で14〜43%高い評価を見込んでいることを示している。

上場後は、トークン化株の投入も見込まれる。Ondo Finance、Backed Finance、Dinari、PreStocksは、原資産となる株式の取引開始に合わせ、SPCXのトークン化商品を上場する計画を示唆している。

Ondo Financeは、IPO当日にオンチェーン株式トークンを投入する仕組みを運用しており、SPCXのエクスポージャー商品も6月12日のニューヨーク市場寄り付き後、数時間以内にSolana、Base、Ethereum上で登場する可能性があるとしている。これらの商品は24時間取引に対応し、小数点単位での投資やDeFi融資プロトコルとの連携も可能だ。

一方で、リスクも浮上している。小規模プラットフォームで取引されたOpenAIとAnthropicのプレIPOトークンは、40%超下落した事例がある。

とりわけAnthropicのPreStocksは24時間で45%下落し、市場が織り込んだ時価総額も1兆4000億ドルから7620億ドルへ低下した。両社は、承認されていない株式移転には経済的価値がないとの立場を示している。

SpaceXのビットコイン保有も注目材料の一つだ。S-1では、3月31日時点の保有量を1万8712BTCと開示した。

取得原価は6億6100万ドル、公正価値は12億9000万ドルとしている。SpaceXは2021年に2万5724BTCを購入し、その後も相当量を保有してきたという。

現在の保有量は、企業によるビットコイン保有ランキングで上位10位圏に入る水準だ。Teslaの1万1509BTCを上回る一方、Strategyの84万3738BTCには及ばない。上場初日にSPCXを購入する投資家は、企業価値1兆7500億ドルの中に含まれる12億9000万ドル相当のビットコインエクスポージャーも、実質的に同時に取り込むことになる。

市場参加者が最も敏感に見ているのは規制動向だ。これらの商品が未登録証券に当たるのか、スワップなどのデリバティブに分類されるのかといった法的位置付けについて、米規制当局は現時点で公式見解を示していない。

テキサス州とニューヨーク州の規制当局が関連商品を精査する可能性は指摘されているが、これまで執行措置は確認されておらず、米商品先物取引委員会(CFTC)もSPCXの合成商品群に対する管轄権を主張していないという。

このため、6月12日までに規制当局の書簡や執行措置が出れば、SPCX関連の合成商品市場は短期間で再評価を迫られる可能性がある。逆に目立った対応がなければ、構造的な不確実性を抱えたまま、上場直後にトークン化株の供給が市場へ流入する展開も想定される。

暗号資産市場はすでにSpaceX上場を売買可能な商品へと仕立てている。ただ、市場間で大きく異なる価格差は、期待先行の強さと制度面の空白が同時に織り込まれた結果といえそうだ。

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