RWA(実物資産連動)市場の規模が338億ドルを超え、関連する暗号資産プロジェクトが2026年の有力な投資テーマとして改めて注目を集めている。
ブロックチェーンメディアのThe Crypto Basicが23日付で報じたところによると、市場の関心はトークン化資産、機関向け決済インフラ、ブロックチェーンを活用した金融インフラ整備に関わるプロジェクトへ向かっている。
ここ2年、暗号資産市場ではミームコインや短期的な投機対象から、実需を伴う金融インフラへと関心が移ってきた。こうした流れを背景に、RWA分野も急速に拡大している。債券や国債、コモディティ、決済システム、請求書、ステーブルコイン決済の仕組みなどをブロックチェーン上で扱う取り組みが増えており、世界の銀行や資産運用会社もトークン化された金融商品の実証を広げているという。
市場拡大の背景には、規制環境の変化もある。一部の国・地域では、トークン化証券やブロックチェーン決済システムに関するルール整備が進んでいる。米証券取引委員会(SEC)が検討しているイノベーション関連の適用除外ガイドラインも、証券トークン化市場の拡大要因として挙げられた。市場では、規制の明確化が伝統的な金融機関の参入ハードルを下げているとの見方が出ている。
時価総額ベースの主要RWAプロジェクトの中で、特に注目を集めたのがChainlinkだ。ブロックチェーンと外部の金融データをつなぐオラクル基盤を強みに、トークン化資産市場の拡大による恩恵を受けているとされる。クロスチェーン相互運用プロトコル「CCIP」は、SWIFTやCoinbase、SBIデジタルなどが採用しているという。LINKの価格は9.80ドル、時価総額は71億5000万ドルとされた。
Stellar(XLM)は、国際送金と低コストの決済・清算ネットワークを軸に成長を続けている。ネットワーク上のトークン化RWAの規模は24億ドルを超え、直近30日間の増加率は11%だった。同期間の送金額は2億7550万ドルで、最も多くトークン化された資産は米国債とされる。XLMの時価総額は49億6000万ドルだった。
Avalanche(AVAX)は、機関投資家向けのサブネット構造を前面に金融業界の関心を集めている。ネットワーク上で運用されるRWAの規模は18億ドルを超え、このうち相当部分が直接発行資産で構成されているという。AVAXの時価総額は41億7000万ドルだった。
Hedera(HBAR)は、企業との提携やエンタープライズ型のガバナンスを強みとする。2月にはRWAブロックチェーン開発活動で首位に立ち、低コストかつ高速なネットワークを武器に、機関による実物資産のオンチェーン移転需要の取り込みを狙っている。HBARの時価総額は39億ドルだ。
ONDO(ONDO)は、米国債を裏付けとするトークン化商品の拡大で急成長したプロジェクトとして挙げられた。発行済みのトークン化資産は38億5000万ドルを超え、その大半が米短期国債をベースとする商品だった。年初来の価格上昇率は14%水準と紹介された。
このほか、Sky、Algorand、Quant、XDC Network、VeChainも主要なRWA関連プロジェクトとして言及された。Algorandは9900万ドル超の不動産資産をトークン化し、Quantは従来の金融システムとブロックチェーンを接続する「Overledger OS」に注力している。XDC Networkは貿易金融と企業決済市場に照準を合わせ、VeChainはサプライチェーン追跡や物流検証の分野で活用事例を広げているという。
市場参加者がRWA関連プロジェクトに注目する理由としては、実用化のシナリオが比較的明確な点が挙げられる。多くのプロジェクトが決済事業者、資産運用会社、金融機関、業務ソフトウエア企業などと協業関係を築いており、トークン化市場が中長期的に数兆ドル規模へ拡大する可能性もあると伝えた。
一方で、不確実性はなお大きい。世界的な規制基準は統一されておらず、伝統的な金融機関がブロックチェーン基盤をどの程度のスピードで導入するかも見通しにくい。複数のネットワークが機関決済とトークン化金融の標準的な地位を争っており、すべてのプロジェクトが長期的に生き残る保証はないとの指摘もある。
加えて、セキュリティリスクやスマートコントラクトの脆弱性、暗号資産市場特有の高いボラティリティも、RWA分野全体の主要リスクとされる。制度整備の進展や機関投資家による採用の広がりが、今後のRWAプロジェクトの中長期的な評価を左右しそうだ。