暗号資産取引所Coinbaseの幹部が、ステーブルコインを巡るシステミックリスク論に反論し、米上院で審議中のデジタル資産市場明確化法案「CLARITY法案」への支持を表明した。民間発行のステーブルコインは銀行と同じ枠組みでは捉えられないと訴えている。
ブロックチェーン専門メディアのBeInCryptoによると、Coinbaseのポール・グリーワル最高法務責任者(CLO)とファリャル・シルザド最高政策責任者(CPO)は25日(現地時間)、CLARITY法案を公に支持する立場を示した。
両氏は、民間発行のデジタルドルが米経済のシステミックリスクを高めかねないとの指摘に異論を唱えた。米上院でCLARITY法案の審議が進むなかでの発言であり、業界としての政治的メッセージをより鮮明にした形だ。
グリーワル氏は、ステーブルコインの監督を公的部門と民間部門の対立として捉えるべきではないと強調した。民間マネーが本質的に危険なのではなく、重要なのはリスク管理やアクセス、監督のあり方であり、CLARITY法案はそれを後押しするとの考えを示した。
シルザド氏は、政策面からみれば民間発行の金融手段はすでに米国の通貨システムで大きな比重を占めていると指摘した。米国の通貨量指標M2の約90%は、商業銀行預金やマネー・マーケット・ファンド(MMF)持ち分など、民間が供給する手段で構成されていると説明した。
そのうえで、ステーブルコインだけを例外的に危険な資産とみなすことはできないと主張した。
Coinbaseは特に、GENIUS法案が想定するステーブルコインの規制枠組みは、銀行規制とは明確に異なると強調した。昨年7月に署名されたGENIUS法案の枠組みでは、ステーブルコイン発行体は現金と短期米国債を準備資産として保有し、流通するトークンを1対1で裏付ける必要がある。
また、貸し出しやレバレッジ、部分準備は認められていない。
シルザド氏は、銀行は融資を行い、満期変換を伴いながら約10倍のレバレッジをかけて信用を創出するため、その事業モデルに合わせた規制を受けていると説明した。一方で、ステーブルコイン発行体にはそうした行為は認められていないと述べた。
Coinbaseはさらに、ステーブルコインの発行構造は銀行預金よりも高い透明性を持ち得ると主張した。シルザド氏は、発行体には月次で準備資産の検証が求められるほか、オンチェーンではリアルタイムの可視性も確保できると説明した。
こうした枠組みは、銀行預金では実現しにくい水準の透明性につながるとの見方だ。
市場では今回の支持表明について、単なる意見表明にとどまらず、今後の立法プロセスをにらんだシグナルと受け止める向きがある。上院銀行委員会でのCLARITY法案の採決が本会議段階に向かうなか、業界の公開支持が、ステーブルコインの利回り提供の可否や市場構造に関する最終的な条文調整に影響する可能性があるためだ。
残る論点は、上院案と、すでに下院を通過した法案をどうすり合わせるかにある。立法日程を踏まえると、中間選挙前にCLARITY法案を成立まで持ち込める時間は限られている。
そうしたなかでCoinbaseが、ステーブルコインと銀行でリスク構造が異なると改めて打ち出したことは、今後の上院協議で規制の強さや適用方法を巡る議論に影響を与える可能性がある。