韓国取引所で、株式決済サイクルを現行のT+2からT+1へ短縮する議論が本格化している。導入時期を来年10月ごろとする想定の前倒しを求める声が出る一方、証券会社の利息収入や関連インフラの整備が主要な論点として浮上している。
26日に韓国取引所で開かれた「株式決済サイクル短縮」討論会では、制度導入の必要性とあわせ、移行時期や実務上の課題を巡る議論が交わされた。
韓国の株式市場では現在、売買成立から2営業日後に決済するT+2方式を採用している。このため、投資家が株式を売却しても、代金を引き出したり再投資に回したりできるまで一定の時間がかかる。
これに対し、米国は2024年に決済サイクルをT+1へ短縮した。欧州と香港もT+1移行の日程を公表しており、韓国市場でも対応を急ぐべきだとの声が強まっている。
チョン・ウンボ韓国取引所理事長は、「T+1決済は一部市場の選択肢ではなく、グローバル資本市場の新たな基準になっている」と述べた。
討論会では、導入時期の前倒しを求める意見も出た。パク・ヨンジン規制合理化委員会副委員長は、金融委員会や関係機関に対し、「現在、来年10月ごろとされる導入時期を可能な限り早めてほしい」と求めた。
同氏はまた、公開討論を通じて、制度導入の進捗や課題を国民に透明に説明すべきだと訴えた。個人投資家の立場からみれば、制度改善がなぜ来年10月まで必要なのか理解しにくいとの認識も示した。
さらに、EUや香港の導入時期に合わせる必要性や、為替・時差を理由とする説明についても疑問を呈した。海外株式に直接投資している個人投資家の実態を踏まえると、十分な説明にはなっていないとの見方だ。
証券会社の利息収入も、今回の論点の一つとなった。パク副委員長は「過去3年間に12社の証券会社が、顧客の決済資金を2日間保有することで得た利息収入は1805億ウォンに達する」と指摘した。そのうえで、「証券会社の巨額の利益が制度改善の障害になっているのではないかとの疑念が残るのも無理はない」と述べた。
一方、韓国取引所は決済サイクル短縮の必要性には同意しつつも、移行の安定性を重視する姿勢を示した。チョン理事長は、「決済サイクルの短縮は、どこか一つの機関の努力だけで進められる課題ではない」と説明。売買成立後の取引確認、清算、両替、決済に至るまで、業務プロセスとインフラ全般の見直しが必要だとした。
同理事長は「T+1への短縮は、国内資本市場の時計をグローバル市場に合わせることだ」と述べたうえで、「スピードだけでなく、副作用を抑えながら進める方法も模索しなければならない」と語った。
韓国取引所としては、政府、業界、関連機関、投資家と連携し、T+1への移行が早期に円滑に定着するよう取り組む考えだ。
決済サイクルの短縮は、個人投資家の資金効率を高め、市場の効率性向上にもつながるとみられている。売却代金の回収が早まれば、投資家は資金をより機動的に運用でき、国内株式市場の国際的な整合性も高まる。
パク副委員長は「決済サイクル短縮は、単に数日の差の問題ではない」とし、「数百万人の個人投資家に資金運用の自由を取り戻すことだ」と強調した。
もっとも、制度移行に当たっては、外国人投資家の決済や両替業務に加え、証券会社や韓国預託決済院などバックオフィスのシステム調整を並行して進める必要がある。市場全体の処理時間が短くなる分、障害対応やリスク管理体制の強化を求める声も出ている。