写真=Wikimedia Commons(ケビン・ウォーシュ氏)

BeInCryptoは25日(現地時間)、ケビン・ウォーシュ氏が米連邦準備制度理事会(Fed)議長に就いたと報じた。市場では、同氏のタカ派寄りの金融政策スタンスに加え、暗号資産に対する比較的前向きな見方にも注目が集まっている。

報道によると、ウォーシュ氏は上院での僅差の採決を経て、ジェローム・パウエル氏の後任としてFed議長に就任した。新体制は、根強いインフレ圧力や6兆7000億ドル(約1005兆円)規模のFedバランスシートに加え、金融政策の変化に敏感な暗号資産市場への対応も迫られることになる。

市場の最大の関心は、ウォーシュ氏の金融政策運営だ。同氏はFed理事時代から、2008年の金融危機後にFedのバランスシートが過度に膨らみ、市場への関与も行き過ぎたと批判してきた。

2011年には追加の量的緩和(QE)に反対してFedを離れ、その後もバランスシート縮小や金融政策の正常化、インフレ抑制の必要性を一貫して訴えてきたとされる。

現在、米政策金利の誘導目標レンジは3.50〜3.75%。3月の米消費者物価指数(CPI)は、イラン発の原油高の影響で総合指数が3.3%まで上昇しており、市場ではFedが年内に積極的な利下げに動きにくいとの見方が広がっている。

Fedが3月に公表したドットチャートでも、2026年時点の利下げ回数は1回にとどまる見通しが示されていた。

こうした環境を踏まえ、市場ではウォーシュ体制の下で、短期的な利下げよりも量的引き締め(QT)の継続や流動性の圧縮が重視される可能性が意識されている。ウォーシュ氏は上院の承認公聴会で、「インフレが経済に定着すれば、それを抑え込むコストははるかに大きくなる」と述べ、「過去4〜5年の政策の誤りがなお残っている」と指摘したという。

さらに、Fedの政策運営についても「体制の変化が必要だ」と強調したとされる。

暗号資産市場では、ウォーシュ氏のビットコインに対する比較的前向きな姿勢も注目材料となっている。歴代のFed議長の中でも、デジタル資産に比較的友好的な立場を公に示してきた人物の一人とみられているためだ。

同氏は過去にビットコインを「持続可能な価値保存手段」と位置付ける一方、個人向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行には否定的な見解を示してきた。暗号資産がすでに米金融システムの一部に組み込まれているとの認識も示してきたという。

また、資産公開資料には1億ドル(約150億円)超のデジタル資産エクスポージャーが含まれるとも報じられている。投資対象は、ビットコイン決済インフラやレイヤー1ネットワーク、分散型金融(DeFi)プロジェクトなど広範に及ぶとされる。

このため市場は、相反する二つのシグナルを同時に受け止めている。Fed運営がタカ派色を強めればリスク資産の重荷となり得る一方、Fedトップがビットコインを長期的な価値保存資産として評価する視点を持てば、暗号資産の制度面での受容を後押しする可能性があるためだ。

ウォーシュ氏は、Fedのコミュニケーション手法の見直しも示唆した。ドットチャートやフォワードガイダンスを軸とする従来の手法が市場のゆがみを広げたとの見方を示し、今後は市場への事前シグナルを減らし、政策当局の裁量余地を広げる可能性が取り沙汰されている。

短期的には市場の変動性を高める要因となり得るが、同氏はそれを通じてFedへの信認回復につなげる考えだと報じられている。

政治との距離を意識した発言も注目を集めた。報道では、ウォーシュ氏が引き継ぎの過程で、特定の政治勢力に左右されるつもりはないとの認識を示したとされる。

この発言については、利下げ圧力をかけてきたドナルド・トランプ大統領との関係を意識したものだとの見方も出ている。

市場の次の焦点は次回の連邦公開市場委員会(FOMC)だ。ウォーシュ氏が実際にバランスシート縮小と引き締め強化を進めるのか、それとも従来路線との連続性を一定程度保つのか。ドル相場、米国株、ビットコインを含むリスク資産の方向性を占う上で、重要な判断材料となりそうだ。

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