Coinbaseのブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)は25日、トークン化資産やステーブルコイン、人工知能(AI)などを巡り、グローバル金融システムが取り組むべき8つの主要課題を示した。ブロックチェーンを基盤とする金融は、暗号資産取引にとどまらず、資産流通や決済、金融インフラ全体へと広がっているとの認識を示した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、アームストロング氏は、技術開発者と政策立案者が連携して進めるべき金融イノベーションの論点として、トークン化された実物資産(RWA)、24時間取引市場、ステーブルコイン決済、AIを活用した金融サービスなどを挙げた。
中でも重視したのが、実物資産のオンチェーン化だ。不動産、株式、債券、ファンドをブロックチェーン上で扱えるようにすることで、即時決済や小口化、投資家層の拡大につながると主張した。
こうした見方は、トークン化市場の拡大とも重なる。RWA.xyzによると、2026年5月時点の世界のトークン化RWA市場は349億ドルを超え、この1年で約200%成長した。
アームストロング氏はまた、24時間稼働するグローバル取引体制の必要性にも言及した。国や市場ごとに取引時間が分かれ、流動性が分散している現状に対し、常時稼働する統合市場の方が資本効率を高めやすいとの考えを示した。
世界の流動性を一体的に結び付けることで、投資機会へのアクセスやレバレッジ商品の活用範囲も広がると説明した。従来の金融市場が持つ限定的な取引時間を、ブロックチェーン基盤の常時取引へ置き換えていく流れに沿うものだとしている。
ステーブルコインも主要テーマの一つに位置付けた。個人間送金にとどまらず、自律型AIエージェント同士の決済インフラとして活用が広がる可能性があると見ている。
Coinbaseはステーブルコイン決済プロトコル「x402」をすでに運用しており、直近30日間で7540万件超の取引を処理したと公表した。業界では、ステーブルコインが暗号資産取引の手段を超え、自動化されたソフトウェアやサービス間の決済にも広がりつつある兆候と受け止められている。
AIの活用については、金融実務に直結する領域での導入を重視した。リスク管理、信用評価、規制対応、金融アドバイスの各分野で、意思決定の高度化や不正の抑制、資金アクセスの改善につながる可能性があるとした。「誰もが質の高い金融アドバイスにアクセスできるようになる」と述べ、金融サービスのコスト構造そのものを変える可能性があるとの見方を示した。
規制については、一律の規制ではなくリスクベースの手法が必要だと主張した。サービスや資産の特性に応じて規制の強弱を調整すべきで、イノベーション産業全体に同じ基準を当てはめるのは非効率になり得ると指摘した。
このほか、健全な通貨システム、セルフカストディ(self-custody)、低い資金調達コストも、金融システムの優先課題として挙げた。
業界では、アームストロング氏が示した8項目について、単なる技術トレンドの列挙ではなく、ブロックチェーン基盤の金融インフラが今後どの方向に再編されるかを示す論点整理だと受け止める見方が出ている。トークン化資産、ステーブルコイン、AIを活用した金融サービスが一つの流れとして結び付くことで、今後の金融市場の競争は決済や資産取引に加え、規制対応やデータ処理の領域にも広がる可能性がある。
市場では、トークン化資産の成長が実際の制度改正やグローバル取引インフラの変化につながるかどうかに関心が集まっている。