ブータンがビットコイン(BTC)90枚を新たなアドレスに移し、市場では売却や第三者への移管を巡る観測が広がっている。年初来でSegWitアドレスへ移されたBTCの総額は2億3739万ドルに達した。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが25日(現地時間)に報じたところによると、今回の移転額は約700万ドル。移転先は、同国のBTCを主に保管してきた主要ウォレット群とは異なるSegWitアドレスだった。
焦点となっているのは資金の行き先だ。オンチェーン分析企業Arkhamのデータでは、今回の資金は、ブータンがこれまで主な保管先としてきた3つのP2SHウォレットクラスターではなく、別のアドレスに送られた。市場では単なる内部移転ではなく、売却や外部主体への移管の可能性を意識する見方が出ている。
ブータンのBTC保有量は減少傾向にある。Arkhamによると、Druk Holding and InvestmentsのBTC保有量は2024年10月の約1万3390BTCをピークに大きく減少した。現在の保有規模は約2億3318万ドルとされる。
今回の動きも、年初から続く一連の移転の延長線上にある。ブータンは今年に入り、同様の手法で小口の移転を複数回実施してきた。
4月29日には保有ウォレットから100BTCを移転し、当時の1月以降の累計移転額は2億698万ドルとされた。4月11日には319.7BTCがウォレットから流出し、このうち約250BTCは、過去にGalaxy DigitalとOKXへの送金履歴があるウォレットに移されたと伝えられている。
Arkhamも25日、X(旧Twitter)への投稿で、ブータンが90BTC(約700万ドル)をSegWitアドレスへ移したと指摘した。その上で、別主体への移転、もしくは売却の可能性を示唆した。年初以降にSegWitアドレスへ移されたBTCは2億3739万ドルに達し、現在の保有額は2億3318万ドルとしている。
市場では、このペースが続けば、ブータンが年末までに保有BTCの大半を整理する可能性があるとの見方も浮上している。
もっとも、ブータンのBTC保有は他国とは成り立ちが異なる。多くの国が押収資産や財務目的の購入でBTCを積み上げてきたのに対し、ブータンは水力発電を基盤とするマイニングによって準備資産を形成してきた。運営主体はDruk Holding and Investmentsとされる。
ただ、こうした構造は足元で逆風にもなっている。BTC価格が9万ドルを上回り、マイニング難度も現在ほど高くなかった局面とは異なり、2024年の半減期後はブロック報酬が3.125BTCに減少した。採掘競争も一段と激しくなっている。
加えて、BTC相場には今年に入り売り圧力が強まっており、25日時点では年初来で約12%安の7万7000ドル台で推移している。
ブータンについては、BTCマイニングを続けるより、近隣国向けの水力発電の輸出の方が高い収益を見込めるとの見方もある。現行の採算環境では、マイニング継続による損失リスクが高まるとの判断だ。
一方、Druk Holding and Investmentsは今回の移転やマイニングインフラの運用状況について、公式見解を示していない。
なお、暗号資産市場全体では、米国とイランの対立が続く中でも一部で安定の兆しがみられた。主要暗号資産は直近24時間でおおむね小幅高となり、BTCも先週の7万5000ドル台から7万7000ドル水準を回復している。
ブータンの追加移転が実際の売却につながったのか、また今後もマイニング中心の戦略を維持するのかが、当面の注目点となりそうだ。