DeepSeek(写真=Shutterstock)

中国のAIスタートアップDeepSeekが、主力モデル「V4プロ」のAPI価格を大幅に引き下げた。高性能AIを巡る競争が性能一辺倒から費用対効果重視へと軸足を移す中、中国勢の低価格戦略が存在感を強めている。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は24日(現地時間)、DeepSeekがこれまでプロモーションとして適用していたV4プロの75%値下げを正式価格として採用したと報じた。V4プロは、OpenAIやAnthropicなど米主要AI企業の最新モデルに対抗し得る性能を備えつつ、運用コストを大きく抑えたモデルとして評価されている。

DeepSeekは杭州に本社を置く。先月には、主力モデル「V4プロ」と軽量モデル「V4フラッシュ」で構成するV4シリーズを公開した。その際、2026年下期に追加の値下げ余地があることにも言及しており、積極的な価格戦略を示していた。

第三者ベンチマーク企業のArtificial Analysisは、今回の価格改定後のV4プロについて、1ドル当たりで得られる性能効率の観点から世界トップクラスに位置付けた。先端モデルの運用に必要な計算資源の供給が逼迫し、価格が上昇する中、業界では単純な性能の高さよりも費用対効果を重視する傾向が強まっているという。

DeepSeekによると、V4プロの公式API価格は、キャッシュ済みの入力トークン100万件当たり最低0.0036ドル、出力トークン100万件当たり0.87ドル。Artificial Analysisの「インテリジェンス・インデックス」をこの料金体系で実行した場合のコストは約268ドルと集計された。

同条件で比較すると、OpenAIのGPT-5.5はV4プロの約12倍、AnthropicのClaude Opus 4.7は約19倍のコストがかかると分析された。

費用対効果を巡る競争では、中国勢の存在感が一段と高まっている。MiniMaxの「M2.7」やXiaomiの「MiMo V2.5プロ」もランキング上位に入った。Alibabaも最新モデル「Qwen3.7 Max」のAPI価格を50%引き下げるプロモーションを始めており、価格競争に加わっている。

中国モデルの費用対効果改善は、AI導入のハードルを下げる要因にもなっている。DeepSeekはV4フラッシュを、2年前に投入したV2と同じ価格で提供した。

同社は4月のV4公開時、「下期には価格が大きく下がる」と表明していた。さらに、Huawei Technologiesの「Ascend 950PR」スーパーノードが大規模に出荷されれば、追加値下げの余地が生まれる可能性があるとの見方も示した。

業界では、こうした動きがAI市場の競争構図を変えつつあるとの見方が出ている。これまでは最高性能の確保が競争の中心だったが、今後は同じコストでどこまで高い性能を実現できるかが新たな評価軸になるとの分析だ。中国勢は低価格と性能改善のスピードを武器に、グローバルAI市場の価格競争をさらに加速させる可能性がある。

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