米ニューヨークの裁判所で、3万9000超の休眠ビットコイン・ウォレットを巡る所有権確認訴訟が提起された。これを受け、Rippleの元最高技術責任者(CTO)であるデイビッド・シュワーツ氏が、実効性に懐疑的な見方を示した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが25日(現地時間)に報じたところによると、原告のノア・ドー氏は、計379万BTCを保有するとされるウォレット群について法的な所有権確認を求めている。
訴状は2026年5月にニューヨークの裁判所へ提出された。対象には、サトシ・ナカモトの保有と推定されるウォレットのほか、初期採掘者のアドレス、カサシウス・コインの保有分、ハッカーや身元不明の主体に関連するとされるウォレットが含まれるという。現在のビットコイン価格で換算した名目価値は、数千億ドル規模に達する。
原告側は、対象ウォレットのアドレスをニューヨーク市警(NYPD)に届け出たほか、潜在的な権利者に対し、オンチェーンおよびメディアを通じて通知したと主張している。ただ、こうした通知が実際の所有者に到達したかどうかは不透明だ。初期のビットコイン・ウォレットについては、そもそも帰属先の特定自体が難しいとの見方も根強い。
シュワーツ氏はX(旧Twitter)で、この訴訟を皮肉った。あるユーザーが「裁判所がいつか愚かな判断を下す可能性はあるが、実効性はほとんどない」と投稿すると、同氏はこれに同意した上で例外として「Bitcoin SV(BSV)は認めるだろう」と応じた。
BSVは、クレイグ・ライト氏との関係が指摘されてきたフォークチェーンだ。ガバナンス面で外部の法的圧力を受け入れやすいとの批判が続いており、ライト氏自身も過去にBTC関連の資産や知的財産権を巡り、裁判所命令を根拠とした権利主張を展開してきた経緯がある。
もっとも、ビットコインのネットワーク上で、こうした判決をそのまま執行するのは容易ではない。ビットコインには所有権を強制的に移転させる中央管理者が存在せず、世界中の独立したノード運営者によってプロトコルが維持されているためだ。裁判所命令に合わせてネットワークのルールを変更できる主体は存在しない。
休眠ビットコインを実際に動かすには、秘密鍵を法的手続きによって確保できる場合など、限定的な条件が必要になる。ただ、今回の中核となるウォレット群には、そうした前提が当てはまらないとみられている。
今回の訴訟は、巨額の初期ビットコイン保有分に法的な帰属を認めさせられるかを問うものだ。ただ、サトシ・ナカモト保有と推定されるウォレットを含む初期アドレスは実所有者の特定が難しく、仮に判決が出ても、実際の資産移転とは別問題として残る可能性が高い。