画像はイメージ(ChatGPT生成)

韓国の主要Webtoonプラットフォームが、ショート動画事業への参入を相次いで進めている。Kakao Piccomaが日本向けサービス「Piccoma」にショートアニメの専用カテゴリを新設するのに続き、Naver Webtoon、RIDI、Lezhin Entertainmentもそれぞれ異なる形で短尺動画の展開を急ぐ。Webtoonや漫画のIPを動画に再編集し、新たな接点を広げながら有料課金につなげる狙いだ。

背景には、Webtoon市場の成長鈍化に加え、ユーザーの視聴時間を巡る競争の激化がある。

### 成長鈍化が鮮明に ショート動画が「時間競争」を加速

2026年1~3月期は、Kakaoのストーリー部門とNaverのコンテンツ部門がそろって前年同期を下回り、Webtoon事業の伸び悩みが改めて浮き彫りになった。Kakaoのストーリー部門売上高は14%減の1824億ウォン(約201億円)。このうちKakao Piccomaは10%減の1120億ウォンだった。

Naverのコンテンツ部門売上高も1.4%減の4401億ウォンにとどまった。Naver Webtoonの親会社であるWebtoon Entertainmentの月間アクティブユーザー数(MAU)は、2025年末時点で1億5700万人と、前年から1200万人減少した。

市場全体の指標も同じ傾向を示している。韓国コンテンツ振興院によると、2024年の韓国Webtoon市場の成長率は4.4%にとどまった。日本の漫画市場も前年比1.7%減となり、8年ぶりのマイナス成長となった。

こうした中、ユーザーの可処分時間はTikTok、YouTube Shorts、Instagram Reelsなどのショート動画へ急速に移っている。韓国の放送通信委員会の調査では、前年のショート動画利用率は78.9%に達した。

韓国コンテンツ振興院の別の調査では、回答者の58.5%がWebtoon原作のショート動画コンテンツを利用した経験があると答えた。本編をまとめて読む前に、短い動画や印象的な場面を通じて作品に触れる消費行動が広がっていることを示している。

### Kakaoは「発見」、Naverは「参加」 戦略に違い

Kakao Piccomaは5月末、「Piccoma」にショートアニメ専用カテゴリ「ANIME」を新設する。Piccomaで配信している日本の漫画やWebtoonを短いアニメーションとして再構成し、一部制作にはAIも活用する。2025年12月に始めたIPグッズくじサービス「Piccomaくじ」に続き、IP活用の領域を映像へ広げる動きとなる。

韓国ではKakao Entertainmentが2025年4月、KakaoPageにAIベースのショート動画機能「Helix Shorts」を導入した。AIがWebtoonの主要シーンや構図、セリフを分析し、短い紹介動画を自動生成する仕組みで、閲覧前に作品のあらすじや見どころを把握しやすくする。

Kakaoの狙いは、ショート動画そのものを独立したコンテンツとして育てるというより、作品の「発見」を促す入口として活用する点にある。

これに対し、Naver Webtoonは参加型の仕組みに軸足を置く。2025年9月に始めたショートアニメサービス「Cuts」は、ファンやクリエイターが2分以内のアニメを直接制作・視聴するUGC型のサービスだ。完結から3年が経過したWebtoon「恋愛革命」のCuts短編アニメは再生回数100万回を超え、完結IPの再消費につながる効果も確認された。5月からは月1億ウォン規模のクリエイター支援プログラムも運営している。

Naver Webtoonはさらに、Cuts専用の有料通貨「Jelly」を2026年下期に導入する方針だ。既存ユーザーは「Cookie」による決済に慣れており、新通貨導入にあたっては、チャージ方式やCookieとの関係をどこまで直感的に設計できるかが課題になりそうだ。

ショート動画を原作への送客を促す「発見の入口」と位置付けるKakaoに対し、Naverはファンダムの参加と課金までを含む独自の動画基盤として育成する方向にある。

RIDIとLezhin Entertainmentは、ショートドラマ形式で市場開拓を進める。RIDIは日本でショートドラマサービス「KANTA」を展開し、一部のKショートドラマが現地で注目を集めるなど、市場性を探っている。Lezhin Entertainmentも2月に「Lezhin Snack」を投入し、この分野に参入した。

### 収益化が次の焦点 課金転換できるか

今後の焦点は、ショート動画が単なるトラフィック拡大にとどまらず、実際の課金につながるかどうかだ。収益化の手法としては、広告挿入、本編への有料送客、部分課金などが想定される。

Kakaoのシン・ジョンファンCFOは1~3月期のカンファレンスコールで、KakaoTalkにおけるショート動画消費の拡大が広告成長をけん引したと説明した。ショート動画が広告収益に結び付く可能性はすでに示されつつある。

ただ、視聴時間の増加がそのまま有料決済の増加につながるとは限らない。短尺動画だけを見て離脱するユーザーへの対応、AI生成動画の品質、原作者と制作側の収益配分など、各社に共通する課題は残る。

業界関係者は「Webtoonプラットフォームのショート動画戦略は、ユーザーを集めるだけでは成功とは言えない」とした上で、「短尺動画の消費を、原作の閲覧や課金、クリエイターへの適切な補償につなげる仕組みを構築できるかが、今後の競争の核心になる」と話した。

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