GTC 2026でSamsung Electronicsが展示したHBM4EとHBM4Eコアダイのウエハー(写真=Samsung Electronics)

半導体設計の受託を担ってきたデザインハウス(DSP)が、AIチップの統合設計領域へと事業の軸足を移している。2nm以降では、ファウンドリー工程だけでAIチップの量産競争を左右することが難しくなっており、案件単価の上昇と資金調達の拡大が同時に進んでいる。

微細化が物理的な限界に近づくなか、競争の焦点は2.5D・3D積層やチップレットへ移った。先端パッケージングやインターコネクト技術の重要性も一段と高まっている。

こうした環境変化を受け、設計IP、ライブラリ、EDAツールを一体で最適化する統合設計力が、チップ性能を左右する重要な要素になりつつある。DSPの役割も、単純な設計受託から、AIインフラ向けアーキテクチャ設計の担い手へと広がっている。

ADTechnologyは、世界の大手テック企業との協業実績に加え、SamsungファウンドリーとTSMCの双方で量産経験を持つ点、自社プラットフォームを基盤とするソリューションを強みに、AIインフラ向けアーキテクチャ企業として先行を狙う。足元の業績回復も、この戦略転換と重なる。

同社の事業報告書によると、2025年の売上高は単体ベースで1244億ウォンと、前年の710億ウォンから75%増加した。営業利益は88億ウォンとなり、過去2年間の81億ウォン、158億ウォンの営業赤字から黒字転換した。

AI、HPC、自動車向けなど高付加価値案件の受注比率を、2024年の26%から2025年に73%、2026年に83%へ引き上げる計画を掲げており、収益性の改善が先行して表れた格好だ。

5nm未満の最先端プロセス案件の比率も、2025年の70%から2026年には80%へ上昇する見通し。ターンキープロジェクトの比率も同期間に60%から81%へ高まるとしている。

自社プラットフォームも事業拡大の土台となっている。ADTechnologyのIPプラットフォーム「Capella」は、英ArmのPOP(Processor Optimization Packages)に近い考え方を採る。

POPがArm IPとシリコンプロセスの橋渡しを担い、一定の電力範囲で性能を高めながら電圧降下リスクを抑えるのと同様に、CapellaもIPとプロセスを最適化する層を提供するという。

次世代プラットフォーム「ADT 620」は、Arm Neoverse V3をベースに2nm以下のプロセス向けとして開発を進めており、ArmとSamsungファウンドリーが共同開発に参加する。社内資料によると、総開発費は約2300億ウォン超に上る。

2.5Dチップレット方式を採用し、データセンターのサーバー向けチップ需要に対応する。Arm Total Designのパートナーシップを韓国半導体業界で初めて締結したことも、データセンター・サーバー向け受注への期待を高める材料としている。

SemiFiveでも大型案件の受注が相次ぎ、案件単価の上昇傾向が業界全体に広がっていることを示している。同社によると、今回の4nm NPUのターンキー契約は約180億ウォン(1250万ドル)規模で、Samsung Electronicsの4nm(SF4X)プロセスを活用したオンプレミス向けAI NPUの商用化を目指す。

これに先立ちSemiFiveは、XCENA向けのCXLベース4nm開発や、HyperAccel向けの大規模言語モデル処理装置(LPU)4nm開発を相次いで受注した。案件単価の拡大については、IPの内製化戦略が背景にあるとしている。

SemiFiveが買収した米シリコンバレー企業のAnalog Bitsは、TSMCのN2Pプロセスに対応する統合LDO(Low Drop-Out Regulator)や、フィンレスPVT(Process, Voltage, Temperature)センサーなど、12種類超の低消費電力ミックスドシグナルIPを保有する。

Analog Bitsは、0.35マイクロメートルから2nmまでのプロセスで、数十億個のIPコアを量産した実績を持つ。800平方メートル超のビッグダイ向けターンキーと自社IPの組み合わせが、案件単価の上昇につながっているという。

◆資金調達も拡大、官民の共同投資が本格化

案件単価の上昇に加え、DSPを中心とする協業エコシステムへの資金流入も加速している。Rebellionsは3月31日、「国民成長ファンド」の直接投資第1号企業に選定され、6400億ウォン規模のプレIPOを完了したと発表した。

同社資料によると、累計調達額は1兆3000億ウォン、企業価値は3兆4000億ウォンに達した。

内訳は、国民成長ファンドの2500億ウォンと韓国産業銀行の500億ウォンを合わせた政策資金3000億ウォンに、Mirae Asset Groupがアンカー投資家として参加した民間資本3000億ウォンを組み合わせたもの。2025年の売上高が2023年比で約10倍に拡大したことが、投資判断の根拠になったという。

2nm以降のAIチップ競争は、ファウンドリー、IP、パッケージング、インターコネクトを含むエコシステム全体へと広がっている。こうしたなか、これらを統合設計で束ねるDSPのハブとしての価値が、案件単価と資金調達の両面に反映される局面に入った。

業界関係者は「ファブレス企業も、単純な外注先ではなく、設計面で協業できるパートナーを求める動きが強まっている」としたうえで、「DSP業界では、売上高と営業利益の両面で体質改善と事業規模の拡大が進んでいる」と話した。

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