ビットコイン(BTC)は22日、一時7万9000ドル(約1185万円)を上回り、2月3日以来の高値を付けた。トランプ米大統領による対イラン停戦の延長を受けて中東情勢の緊張緩和期待が広がり、米株高と歩調を合わせる形で暗号資産市場でもリスク選好が回復した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、ビットコインは同日の取引時間中に7万9000ドル台へ上昇した。米国株も同日に上昇し、ナスダック指数は取引時間中に1%超上げる場面があった。
相場上昇のきっかけとなったのは、ドナルド・トランプ米大統領がイランに対する2週間の停戦を延長し、交渉再開の可能性に言及したことだ。市場では、地政学リスクがいったん後退するとの見方が強まった。
トランプ氏は、イラン政府は「分裂した状態」にあり、交渉案を一本化する時間が必要だとの認識を示した。一方で、イランに対する港湾封鎖措置は維持し、圧力を緩めない姿勢も鮮明にした。
ビットコインは、イランが第2回の和平会談を拒否した4月19日に7万4000ドル(約1110万円)を下回った。その後は約7%反発し、上昇基調を取り戻した。
交渉再開への期待も投資家心理の改善につながった。トランプ氏は、米国とイランの協議が早ければ金曜日にも再開し得ると説明したほか、パキスタンなど仲介国を通じ、36〜72時間以内に新たな交渉ラウンドが進む可能性も指摘された。
もっとも、イラン外務省は協議参加の有無を明言せず、米国の交渉姿勢を批判しており、不透明感は残っている。
一方、市場では今回の反発を地政学要因だけで説明するのは難しいとの見方も出ている。世界の中央銀行が金保有を積み増していることが、ビットコイン高と重なるマクロ要因として意識されているためだ。
Kobeissi Letterによると、中央銀行の金保有量は約3万8666トンと、これまでに採掘された金全体の約17%に相当する。安全資産志向が構造的に続くなか、ビットコインも代替的な価値保存手段として選好されやすい地合いにあるとの見方がある。
中国の銀輸入の急増も、同様の流れとして受け止められている。3月の中国の銀輸入は前月比78%増の836トンと、過去最大を記録した。
背景には、個人投資家による代替資産への需要に加え、太陽光関連産業による原材料確保の動きがあるとみられる。
ただ、市場リスクが完全に解消されたわけではない。米国の信用取引残高は3月に1兆2200億ドルと前月から減少し、昨年11月以来の低水準となった。
短期的にはレバレッジ縮小のシグナルと受け止められる一方、前年比ではなお高い伸びを維持しており、相場変動要因として警戒されている。
中東情勢にもなお火種は残る。イラン革命防衛隊は、ペルシャ湾の海底インターネットケーブルやクラウドインフラを標的とする脅威の可能性に言及し、市場の警戒感を完全には払拭していない。
実際に衝突が再燃した場合、金融市場全体へのショックが再び広がる可能性があるとの懸念も出ている。
このため、ビットコインの一段高が続くかどうかは、今後の交渉進展のスピードに左右されるとの見方が多い。市場は停戦延長と協議再開への期待を織り込む一方、封鎖措置の継続と地政学リスクの残存も意識しており、当面は関連ニュースに振られやすい相場展開が続きそうだ。