写真=イーロン・マスク氏のXより

Teslaが次世代自動運転チップ「AI5」の設計を終え、テープアウトした。生産はTSMCに委託するが、車両向けの量産は2027年半ばにずれ込む見通しだ。この影響で、2026年4〜6月期に投入予定とされるロボタクシー「Cybercab」には、既存のAI4ハードウェアが使われる可能性がある。

米EV専門メディアElectrekによると、イーロン・マスクCEOは15日、X(旧Twitter)でAI5チップの実物画像を公開し、設計チームをたたえた。

テープアウトは、半導体の設計データを製造委託先のファウンドリーに引き渡す工程を指す。TeslaはAI5の生産をTSMCに委託し、次世代のAI6ではSamsung Electronicsの2nmプロセスを採用する計画だ。

もっとも、テープアウト後すぐに車載できるわけではない。通常は試作、テスト、検証などを経る必要があり、実際の搭載までには12〜18カ月かかるとみられる。

このため、AI5の実用化は当初の計画から遅れている。マスク氏は2024年時点で、AI5を2025年下半期に搭載するとしていたが、足元の量産スケジュールは2027年半ばまで後ろ倒しになった。

Teslaはつなぎ策として、2025年末に2026年型Model Yへ性能を小幅に高めた「AI4.5」を暫定導入してきた。

注目を集めていたCybercabも、この遅れの影響を受ける可能性がある。Teslaは量産ラインの切り替えに当たり、数十万個規模のAI5ボードの確保が必要との立場だが、その数量をそろえられるのは2027年半ばになるという。

そのためCybercabは、マスク氏が「10倍強力」と説明してきたAI5ではなく、現在のModel 3やModel Yに採用されている既存のAI4ハードウェアを搭載して投入される可能性がある。

ハードウェア刷新や製品投入の遅れが繰り返されれば、技術開発の前進とは別に、顧客の信頼低下を招くおそれもある。Teslaはこれまで完全自動運転(FSD)の実現を掲げて数百万台を販売してきたが、次世代チップが登場するたびに既存ハードウェアの性能限界が改めて意識されてきたためだ。

AI5のテープアウトは、Teslaの自動運転技術が次の段階に進んだことを示す一方、既存ハードウェアを使う顧客にとっては、約束されてきた機能実装の時期がさらに先送りされたことも意味している。

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