先延ばし傾向が強い人は、目標を立てられないからでも、成功した自分を思い描けないからでもなく、失敗への不安が強いために行動を避けやすい可能性があることが分かった。英ヨーク・セントジョン大学の研究チームが発表した論文で明らかになった。
研究チームは、英国の大学生111人を対象に調査を実施。参加者には、1カ月以内に達成したい短期目標と、6カ月以上先を見据えた長期目標をそれぞれ挙げてもらい、各目標について、行動を避ける可能性、達成場面をどれだけ鮮明に想像できるか、失敗を思い浮かべた際の予期不安などを評価した。
分析の結果、先延ばし傾向が強い人ほど、短期目標、長期目標のいずれでも、目標に向けた行動を意図的に避ける傾向が強いことが確認された。
一方で、目標を達成した場面のイメージの鮮明さには、先延ばし傾向の強弱による差は見られなかった。先延ばし傾向の強い人も、そうでない人と同様に、成功した未来を具体的に思い描いていたという。目標の重要性や、達成時に得られる幸福感への期待にも有意な差はなかった。
違いが明確に表れたのは、失敗を想像したときの反応だった。先延ばし傾向が強い人ほど、目標達成に失敗する場面を思い浮かべた際の不安が大きかった。この傾向は長期目標より短期目標で強く、研究チームは、短期目標は客観的な重要度が低く認識されていても、感情面ではより強い脅威になり得ると分析した。
今回の結果は、先延ばし行動を単に目標設定能力の不足だけで説明するのは難しいことを示している。研究チームによると、先延ばし傾向のある人も目標そのものは重要だと認識し、成功のイメージも描けている。ただ、成功の可能性を低く見積もる傾向があり、とりわけ目の前の課題で失敗することへの不安が、行動の遅れにつながっている可能性があるという。
対処法の方向性にも示唆がある。目標をより具体化したり、動機付けを高めたりするだけでは十分でない場合があり、特に短期課題を前に高まる失敗不安をどう和らげるかが重要になりそうだ。研究チームは今後の課題として、失敗不安と回避行動の結び付きについて、より精緻な検証が必要だと指摘している。