ADTechnologyは4月7日、従来の受託型デザインハウスから、AIサーバーチップのアーキテクチャを先行提案する事業モデルへ転換すると明らかにした。エッジサーバーやソブリン環境向けのARMベースCPU需要を取り込み、2030年に売上1兆5000億ウォンの達成を目指す。
同日開いた記者懇談会で、パク・ジュンギュ代表は、顧客の依頼を待つ受動的なモデルから脱し、市場に必要なアーキテクチャを先に提示して顧客と共同開発を進める体制へ移行すると説明した。
背景には、デザインハウス業界を取り巻く構造変化がある。これまでは、ファブレスが設計した回路データをファウンドリ工程に適合させる補助的な役割が中心で、データ入出力など周辺設計の一部を担うケースが多かった。
一方で、半導体プロセスの微細化が5nm、3nm、2nmへと進むにつれ、1チップの開発に必要なエンジニア数は大幅に増加した。開発費も2nmでは1案件当たり400億~500億ウォンに達し、ファブレス単独で負担するのが難しい水準になっている。
このため、システムアーキテクチャ設計からRTL実装、量産までを一貫して担うターンキー型パートナーの重要性が高まっている。ADTechnologyは、こうした需要を見据えて対応領域を広げる方針だ。
同社がとくに注目するのが、CPU設計需要の変化だ。パク代表は、従来のクラウドデータセンターではIntelとAMDが8〜9割のシェアを握る一方、AIデータセンターでは電力効率の改善と運用コスト削減を目的に、ARMベースCPUへの移行が進んでいると説明した。
主要ビッグテック各社も、電力効率の向上に向けてARMアーキテクチャベースの自社サーバーCPUを開発している。ただ、それらは自社クラウド向けに最適化した大規模チップが中心で、エッジサーバーやソブリン環境など比較的小規模なシステムに適したARMサーバーCPUを設計し、量産まで主導できるプレーヤーは限られるという。
ADTechnologyは、この隙間市場を狙い、CPUプラットフォームを先行開発して顧客に提案する構想を示した。
同社は、こうした転換を支える基盤として、世界大手ファウンドリ2社との協業実績を挙げる。2002年の設立以来、860件超の設計プロジェクトを手掛け、TSMCの公式デザインパートナー制度であるDCA(Design Center Alliance)と、上位パートナーシップのVCA(Value Chain Aggregator)の資格を取得した。
その後、2019年にはSamsung Foundryのデザインハウスへ転換し、170件超のSamsung Foundry案件を通じて先端工程の設計力を蓄積したとしている。
パク代表は、TSMCからSamsungへ軸足を移す過程で、Samsung Foundryを顧客案件にどう活用するかを検討した結果、ファウンデーションライブラリとメモリ特性を自社で直接開発する体制を整えたと説明した。TSMCの同一工程と比較して同等以上の結果を確保しなければ、Samsung Foundryとの協業は難しいとの認識も示した。
さらに2023年には、ARMのトータルデザインパートナーシップを韓国の半導体業界で初めて締結し、サーバー向けCPUプラットフォーム開発の基盤を整えたとしている。
こうしたファウンドリ対応力と自社IP開発力をもとに投入するのが、Samsung Electronicsの2nmプロセスをベースにしたサーバー向けCPUプラットフォーム「ADP620」だ。ARM Neoverse V3を35コア搭載し、CMN-S3コヒーレント・メッシュ・ネットワークでコア間通信を実現する。
UCIe 24G/16Gのダイ・ツー・ダイ接続を通じてNPUチップレットと2.5D方式で統合し、LPDDR5x/DDR5xメモリ、PCIe Gen5/6、CXLインタフェースをサポートする。テープアウトは2027年4〜6月を予定している。
高付加価値案件の受注比率も急速に高まっている。AI、HPC、車載などの高付加価値プロジェクトが受注に占める割合は、2024年の26%から2025年は73%へ上昇し、2026年には84%に達する見通しだ。
先端工程(5nm以下)プロジェクトの受注比率も、同期間に55%から70%へ上昇し、2026年は80%を目標に掲げる。海外受注額は前年同期比134%増となった。
量産までつながるターンキー案件の売上比率は、2024年の60%から2025年には81%へ拡大した。パク代表は、同社が単なるデザインサービス企業ではなく、より高付加価値な事業モデルを持つ企業へ進化していくと強調した。
売上目標についてパク代表は、2nm案件では開発費が1件当たり500億ウォンを上回るため、同時に6件程度を進めれば、開発売上だけで3000億ウォン規模が見込めると説明した。
さらに、チップレット型のサーバーチップは単価が3000〜4000ドル超に達するとし、量産が本格化すれば売上1兆ウォン規模も十分に視野に入るとの見方を示した。