KT光化門Westビル(写真=KT)

KTは3月31日、定時株主総会を開き、朴允永氏を代表取締役に選任した。新経営体制の発足に合わせて大規模な役員人事と組織再編にも踏み切り、AIを軸とする法人事業の強化と現場支援の拡充を進める。

同日の株主総会では、朴氏の代表取締役選任のほか、社内取締役の選任案などを可決した。朴氏は1992年にKTの前身である韓国通信に入社。企業事業部門長、未来事業開発団長、コンバージェンス研究所長などを歴任し、企業事業部門長時代にはKTの成長軸をB2Bへ広げた立役者とされる。

### 役員体制を刷新、女性初の副社長も

朴体制の始動と同時に、KTは役員人事を大幅に見直した。業界では、社内事情に精通する朴氏の就任を機に、経営効率化に向けた大規模人事が行われるとの見方が出ていた。

KTは最近、常務級以上の役員約90人のうち約30人に退任を通知したとされる。副社長級の最高技術責任者(CTO)であるオ・スンピル技術革新部門長は辞意を示した。これに先立つ1月には、シン・ドンフン前最高AI責任者(CAIO)がNC AIに移っている。

KTは株主総会終了から4時間足らずで、CEO直轄部門の部門長を一斉に入れ替えた。1972年生まれのキム・ボンギュンkt engineering代表取締役は、副社長兼エンタープライズ部門長に昇格し、法人事業を統括する。

オク・ギョンファITプラットフォーム本部長は、副社長兼IT部門長に昇格した。KTで女性役員が副社長に就くのは初めて。パク・ヒョンジン副社長はカスタマー部門長に就任した。カスタマー部門の主要本部長を歴任し、Millie’s Library代表も務めたB2C分野の専門家とされる。

また、ネットワーク部門長にはキム・ヨンイン専務を副社長に昇格のうえ起用した。

社内出身の代表就任を受け、「生え抜き中心」の人事になるとの観測もあったが、内外の人材を織り交ぜた布陣との受け止めも出ている。パク・ヒョンジン氏、キム・ボンギュン氏、キム・ヨンイン氏、オク・ギョンファ氏の4人は社内昇格。一方、ソン・ジョンギュ法務室長(副社長)、イ・サンウン情報セキュリティ室長(CISO・専務)、パク・サンウォンAX事業部門長(専務)は外部登用とされる。

### 7広域本部を4エリアに再編、2300人を現場に再配置

今回の改編では、組織の簡素化も大きな柱となる。KTは同日、従来の7広域本部体制を4エリア(首都圏北部・首都圏南部・東部・西部)に再編し、B2C、B2B、ネットワークの各事業部門直轄に組み込んだ。

本社と現場の連携を強め、報告系統を簡素化するのが狙いだ。広域本部でB2Cを担ってきた7つの顧客本部はカスタマー部門の4本部に編入し、法人顧客本部はエンタープライズ部門、NW運用本部はネットワーク部門へそれぞれ移管する。

KTは役員級組織についても、従来比で約3割の規模まで縮小し、組織効率の改善と事業競争力の強化を進める方針だ。事情に詳しい関係者は「機能が重複する組織が多く、報告系統も複雑になりがちだった。意思決定の迅速化が狙いではないか」と話した。

もう一つの焦点は、「トータル営業タスクフォース(TF)」の解体だ。同TFは、2024年のキム・ヨンソプ代表時代に、構造調整を拒否した人員が配置された組織とされる。現在約2300人に上るTFメンバーは、人手不足の現場に全面的に再配置する。

KT関係者は「B2C、B2B、ネットワークなど全社的な緊密な連携が求められる領域で現場支援が強まり、実質的な市場成果につながると期待している」と述べた。

### 情報セキュリティ立て直しとB2B AXを両輪に

KTは、昨年発生した違法フェムトセルを悪用した少額決済の不正請求問題への対応にも力を入れる。加入者368人の情報流出と、2億4000万ウォン相当の金銭被害が発生し、加入者離れを招いたとされる。

朴氏は選任直後、役職員向け書簡で「隙のない情報セキュリティはKTの存在理由だ。いかなる妥協もなく、必要な投資を惜しまない」と強調した。

法人分野では「B2B AX」戦略を前面に打ち出す。KTは新たに「AX事業部門」を設け、コンサルティングから運用まで一貫して担う事業モデルで法人市場の開拓を進める方針だ。

KTは先月のMWC26で、企業向けAIオペレーティングシステム「エージェンティック・ファブリック」と、フィジカルAIロボットプラットフォーム「K RaaS(KT Robot as a Service)」を披露しており、B2B市場強化の方向性を鮮明にしていた。

B2Cでは、既存のカスタマー部門にメディア部門を統合した。有線・無線通信とメディアの連携によるシナジー創出を狙う。

### ガバナンス刷新も課題

朴氏が、これまで繰り返されてきたガバナンス問題に区切りを付けられるかも焦点となる。今回の定時株主総会では、兼職問題で退任したチョ・スンア前社外取締役を巡る議論や、請託疑惑が取り沙汰されたイ・スンフン社外取締役を含め、ガバナンスリスクに対する株主の批判が相次いだ。

キム・ミヨンKT新労組委員長は議事進行発言で、「KTは取締役会の専横で経営危機に陥っている。取締役会が利権カルテルの本拠地になった」と主張した。

KTは今回の株主総会で、パク・ヒョンジンKT Millie’s Library代表を社内取締役に選任した。社外取締役には、未来技術分野でキム・ヨンハン崇実大学電子情報工学部教授、経営分野でクォン・ミョンスク元Intel Korea代表、会計分野でソ・ジンソクOCI Holdings・プグァン薬品非常勤顧問を選んだ。

一方、任期満了を迎えた社外取締役のうち、唯一再任されていたユン・ジョンス金&張法律事務所顧問は一身上の都合で辞任した。このため、環境・社会・ガバナンス(ESG)分野の社外取締役ポストは空席となっている。

朴氏は、あらゆる変化の中心には「人」があると強調した。会社の中核価値を「KTプロフェッショナリズム」と定義し、すべての意思決定と行動の基準に据える考えだ。

そのうえで朴氏は、「通信本来の競争力である『堅固な本質』を磨くことが、顧客信頼回復と革新の出発点だ」と述べ、「超個人化と産業特化AX能力を最大化する『確かな成長』の好循環を構築し、韓国ナンバーワンのAXプラットフォーム企業へ飛躍できるよう全社の力を集中する」とした。

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