ArmのAGI CPUを巡り、韓国企業の関与範囲が具体化してきた。Armによると、Samsung Electronicsとの協業は現時点でメモリ供給が中心で、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)のパートナーにはAmkor Technologyを起用する。メモリインターフェースはDDR5のみに対応する。
Armのシニアバイスプレジデント、モハメド・アワド氏は25日のメディア向けQ&Aで、「Samsung Electronicsとのパートナーシップは、いまのところメモリが中心だ」と述べた。次世代版では適切な協業のあり方を検討しており、Samsung Electronicsは世代ごとの協業先候補の一社だと説明した。
一方で、ファウンドリからパッケージングまでを含む垂直統合型の協業については、現時点では決まっていないという。
同日、Samsung Electronicsのチョン・ヨンヒョン副会長は「ロジック・メモリ・パッケージングの共同最適化」に言及した。これに対し、Arm側が現時点で明らかにした協業範囲はメモリ中心にとどまる。Samsung Electronicsはファウンドリ、メモリ、パッケージングを垂直統合できる企業であるだけに、今後のロードマップで協業領域がどこまで広がるかが焦点となる。
OSATのパートナーはAmkor Technologyに決まった。アワド氏は「Amkor Technologyが当社のOSATパートナーであり、緊密に連携している」と述べた。
Amkor Technologyは韓国系の半導体パッケージング企業で、アリゾナやベトナムなどにグローバル生産拠点を持つ。ODMパートナーについては複数社を検討しているものの、まだ確定していないとした。
■メモリはDDR5専用、SK hynixへの短期効果は限定的
メモリインターフェースについて、アワド氏は「DDR5のみに対応する」と明言した。LPDDR5Xへの対応有無を問う追加質問に対しても、「DDR5に限定される」と改めて説明した。
ArmのAGI CPUは、コア当たり6GB/sの帯域幅をサポートする。アワド氏によれば、1ギガワット当たりのCPUコア数が従来の3000万個から1億2000万個へと4倍に増える環境を前提に設計したという。
CPUコア数が増えてもメモリ帯域が不足すれば、ボトルネックはアクセラレータ側からCPU側に移る。こうした事情が、プラットフォーム全体の実効性能を左右するメモリインターフェース選定の背景にある。
SK hynixが強みを持つ高帯域幅メモリ(HBM)は、GPUやAIアクセラレータのような演算集約型チップでの採用が中心だ。一方、CPUはレイテンシ最適化の観点から、一般にDDR系メモリとの組み合わせが主流となる。
一部の高性能サーバーCPUではHBMを搭載した例もあるが、Armは汎用データセンターCPUとして標準的な構成を選んだ格好だ。
このため、SK hynixにとってはHBMではなくDDR5領域の話となり、短期的な直接効果は限られる可能性がある。
ただ、ArmのAGI CPUがエージェンティックAI向けインフラ全体に広がれば、DDR5需要そのものを押し上げる余地はある。SK hynixのクァク・ノジョン社長も同日、「AIワークロードに最適化されたプラットフォームには先端メモリ技術が不可欠だ」と述べており、次世代版で高帯域幅メモリを取り込む可能性は残る。
Armは、CSS(Compute Subsystems)が導入から4年でロイヤルティ売上高の約20%を占めるまでに拡大したことも明らかにしている。こうしたシリコン事業の拡大が続けば、韓国サプライチェーンの組み込み範囲も、世代を追うごとにより具体化していく可能性が高い。