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KAISTは3月20日、チョ・ビョンジン電気電子工学部教授の研究チームが、新素材「ホウ素酸窒化物(BON)」を用いたトンネル層を開発し、3D V-NANDメモリの高集積化で課題となっていた消去速度と信頼性の両立に成功したと発表した。データ消去速度は従来比で最大23倍向上したという。

3D V-NANDは、データを保存する半導体セルを垂直方向に積層し、記憶容量を高めるメモリ技術だ。高集積化が進む一方で、書き込みや消去の過程では動作速度の低下や信頼性の確保が課題となっていた。

この課題の鍵を握るのが、メモリセル内で電子が移動する極薄の絶縁層であるトンネル層だ。トンネル層は性能と安定性を左右する重要な要素だが、従来材料では両立が難しかった。

従来広く使われてきたシリコン酸窒化物(SiON)では、消去性能を高めようとすると保存中の電子が外部に漏れやすくなり、逆に漏えいを抑えようとすると消去速度が大きく低下するというトレードオフがあった。

KAISTによると、この問題は1つのメモリセルに5ビットを記録する次世代のペンタレベルセル(PLC)の実用化に向けた大きな障害になっていた。PLCでは1セルで32段階の電圧状態を識別する必要があり、より高い精度と安定性が求められる。

研究チームはシリコン系材料に代えて、トンネル層にBONを適用した。BONは、電荷の種類によって障壁の高さが異なる特性を持つという。

この特性を活用し、消去時に必要な正孔は通しやすくする一方、保存データを担う電子は外部に漏れにくくする「非対称エネルギー障壁」構造を設計した。研究チームはこれを、必要なときだけ開き、不要な漏れは防ぐ「スマート出入口」構造と表現している。

実験では、BONトンネル層を適用した素子の消去速度が従来比で最大23倍向上した。数万回の動作後も性能劣化はほぼ確認されず、高い耐久性も示した。

さらに、32段階の微細な電圧状態を識別するPLC動作でも、素子間のデータ分布を従来より3倍以上精密に制御することに成功したとしている。

チョ・ビョンジン教授は「次世代の超大容量メモリ製造に直ちに適用できる独創的な技術だ」とした上で、「半導体強国である韓国の技術的優位を維持する上で大きく貢献する」と述べた。

今回の研究は、電気電子工学部の修士・博士一貫課程に在籍するカン・デヒョン氏が筆頭著者として主導した。成果は昨年12月、半導体分野の国際学会である国際電子デバイス会議(IEDM)で発表された。研究は、科学技術情報通信部の国家半導体研究室支援事業と中核技術開発事業の支援を受けた。

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