NVIDIAが次世代AIチップ「Rubin」の量産前倒し方針を示したことで、HBM4を巡る供給競争が本格化してきた。初期採用ではSK hynixが先行した可能性が高いものの、本格量産局面では勢力図が変わる可能性もある。焦点は2月のHVM(高量産)移行で、Samsung Electronicsが供給網に食い込めるかが注目点となる。
Blackwellの次世代に当たるGPUアーキテクチャ「Rubin」の前倒し発表により、HBM4競争も想定より早いタイミングで動き始めた。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは5日(現地時間)、CES 2026で次世代AIコンピューティングアーキテクチャ「Rubin」を公開し、本格量産に入る方針を明らかにした。
NVIDIAは例年、3~4月開催のGTCで新製品を披露してきたが、今回は発表時期を1月に前倒しした。市場では、初期供給先の選定はすでに完了しているとの見方が強い。
初期供給の最有力とみられているのはSK hynixだ。同社は2025年9月、HBM4の開発完了と量産準備の整備を公表している。
SK hynixによると、HBM4では前世代比で2倍となる2048 I/Oを実装し、帯域幅も2倍に高めた。電力効率は40%以上改善したとしている。
また、実績のある独自の先端MR-MUF工程と、10ナノ級第5世代(1bnm)DRAM技術を適用し、量産工程上のリスクを抑えたとしている。
もっとも、勝負は初期供給で決まるわけではない。業界では、試作・初期量産から市場向けのHVMへ切り替わる節目が2月になるとみている。
初期供給だけでは世界の大手テック企業の需要を賄い切れず、2月以降は歩留まりの引き上げと供給量の拡大が問われる局面に入る。このタイミングで、Samsung ElectronicsがHBM4の供給網に加わるかどうかが焦点になる。
Samsung Electronicsにとって2月は、HBM4のHVM体制に加わる事実上の期限ともいえる。Micronは直近の決算説明会で、HBM4を含む2026年分のHBMについて価格・数量契約を完了したと説明し、HBM4は2026年2Qに本格量産へ移行する見通しを示した。
Micronはさらに、HBM4はHBM3Eより歩留まり改善のペースが速いとの見方を示したうえで、2028年のHBMのTAM(総市場規模)を1000億ドル(約15兆円)と見積もった。これは2024年のDRAM市場全体の規模を上回る水準だ。
Samsung Electronicsにも巻き返しの余地はある。足元ではTSMCのパッケージング能力がボトルネックの一つとされており、Samsung ElectronicsがHBM4とパッケージングを一体で提供するワンストップ型の供給体制を打ち出せれば、SK hynix単独では埋め切れない需要を補う存在となる可能性がある。
SK hynixも量産拡大の不確実性を意識
一方、SK hynixもHVM局面の不確実性を意識しているようだ。同社は2025年12月24日、ニュースルームに掲載した半導体工場投資に関する説明で、「半導体工場建設で重要なのは資金規模だけでなく、いかに迅速に資金を確保し、投資判断を下せるかだ」との認識を示した。
そのうえで、「日本の事例のように、政府と民間が多様な方法で迅速に資金を調達できれば、工場建設から稼働までの期間を大幅に短縮できる」と説明した。
表向きには投資規制の改善を訴える内容だが、HBM4のHVM局面で生産能力の拡張速度が競合に見劣りする可能性への警戒感もうかがえる。クリーンルーム1万坪ベースの投資額は、2019年の約7兆5000億ウォンから、2025年の清州M15Xベースでは約20兆ウォンへ膨らんでおり、資金調達の速さが市場シェアに直結しかねないためだ。
グローバルのAIインフラ需要は急拡大しており、HBM市場では初期供給を確保しただけでは優位を維持しにくくなっている。SK hynixが築いてきた先行優位も、HVMの立ち上がり次第では揺らぐ可能性がある。
最終的には、Rubinプラットフォームでどの程度採用比率を確保できるかが、今後の主導権を左右するとみられる。
HBM4需要が本格化する2Q以降、どの企業がより早く安定したHVM体制を築けるかが最大の焦点だ。SK hynixが今年も先行を維持するのか、それともSamsung Electronicsが反転攻勢の足掛かりをつかむのか。2月の量産移行局面が分水嶺となる。
業界関係者は「HBM4は技術力だけでなく、生産スピードそのものが競争力を左右する市場になった。2月以降、誰が先に安定したHVM体制を整えるかが、通年の実績を決める」と話している。