Qualcomm Technologiesは1月6日、CES 2026で車載AI、IoT向けエッジコンピューティング、ヒューマノイドロボット向けプラットフォームを発表した。あわせて、Snapdragon Digital Chassisの拡充と、Agentic AIを軸とした車載技術も披露した。
同社はGoogleとの協業を拡大し、Snapdragonプラットフォームをベースに車載ソフトウェアの統合を進めている。これを基盤とする「Snapdragon Cockpit Elite」と「Snapdragon Ride Elite」は、Li Auto、Leapmotor、Zeekr、Great Wall Motor、NIO、Cheryなどの10件の採用案件を獲得した。
「Snapdragon Ride Flex」は、デジタルコックピットと先進運転支援システム(ADAS)のワークロードを1チップで統合する初の商用SoC。すでに世界8件の量産プログラムで採用されている。
中国のティア1サプライヤーであるAutolink、Desay SV、Hangsheng、ZYTは、Ride Flexベースの統合ソリューションを量産する計画を明らかにした。
同社は、エンドツーエンド自動運転の展開加速に向けて独自のAIアルゴリズムも開発している。Snapdragon Rideプラットフォームで20件のデザインウィンを獲得したのに続き、DeepRoute.AI、Momenta、QCraft、WeRide、ZYTなどと協業を進める。
ZF、Apexとも連携しており、Snapdragon Ride SoCの出荷は100万個に迫っているとした。
「Snapdragon Cockpit」プラットフォームは、2025年6月時点で世界7,500万台超の車両に採用された。Toyotaは新型RAV4に次世代Snapdragon Cockpitプラットフォームを採用した。
同社は、車載5Gの適用拡大に向けて「Qualcomm A10 5Gモデム-RF」も発表した。同製品は同社初の5G Reduced Capability(RedCap)モデムで、ミッションクリティカルなサービス向けに低消費電力かつ低コストのグローバルLTE/5G接続をサポートする。
Qualcommは現代モービスとの協業も披露した。見通し外(NLOS)の車両や二輪車などの危険検知を高度化するV2Xソリューションで、早期警告を提供し、高速走行時にはソフトブレーキ、低速時には緊急制動を支援するという。
Qualcomm Technologiesで自動車・産業・組み込みIoT・ロボティクス部門を統括するナクル・ドゥガル シニアバイスプレジデントは、「Qualcomm Technologiesは、AIとソフトウェア定義アーキテクチャを通じて、自動車メーカーがより高度でパーソナライズされた安全な移動体験を提供できるよう支援している」とコメントした。
そのうえで、「Snapdragon Digital Chassisの規模と、グローバルな自動車エコシステム全体に広がる協業を基盤に、Qualcommはイノベーションを加速し、関連業界のコネクテッドかつ自動化されたモビリティへの移行を後押ししていく」と述べた。
同社はこのほか、「Dragonwing Q-7790」と「Q-8750」プロセッサを含むIoT製品群も発表した。あわせて、過去18カ月でOzentics、Arduino、Edge Impulse、FocusAI、Foundries.ioの買収を完了したことも明らかにした。
「Dragonwing Q-8750」は77TOPSのAIエンジンを搭載し、「Dragonwing Q-7790」は24TOPSのオンデバイスAI性能を提供する。Ozenticsの買収により、IPセキュリティカメラやスマートホーム機器向けのスマートイメージング技術や、低消費電力のビジョン処理チップ技術を確保したとしている。
ナクル・ドゥガル氏は、「Qualcommは新製品を投入するだけでなく、あらゆる規模の企業がAIとエッジコンピューティングの恩恵を活用し、効率化と新たな事業機会の創出を進められるよう支援する新たなアプローチを提示している」と述べた。
また、「拡充した産業・組み込みIoTポートフォリオは、強力な開発者エコシステムと組み合わせることで、インテリジェントでコネクテッドなビジネスソリューションの構築と展開を支える基盤になる」と強調した。
ロボティクス分野では、ハードウェア、ソフトウェア、コンパウンドAIを統合した次世代ロボティクス向けのフルスタックアーキテクチャも披露した。あわせて、産業用自律移動ロボット(AMR)とフルサイズのヒューマノイド向け高性能ロボティクスプロセッサ「Dragonwing IQ10」シリーズも発表した。
同社によると、Dragonwingの産業用プロセッサのロードマップは、BoosterやBinho Motionなどグローバルロボティクス企業のヒューマノイドロボットで採用されているという。
このアーキテクチャは、VLAやVLMといったエンドツーエンドAIモデルによる高度な認識と動作計画を支援する。QualcommはKUKA Roboticsと次世代ロボティクスソリューションに関する協議も進めている。
さらに、Advantech、APLUX、Autocore、Booster、Figure、KUKA Robotics、RoboteqAI、Binho Motionと連携し、ロボティクスプラットフォームのエコシステムを構築するとした。
ナクル・ドゥガル氏は、「Qualcommは、エネルギー効率と高性能を両立するフィジカルAIシステム分野のリーダーとして、複雑なロボットシステムを大規模に導入するうえで必要となる信頼性と安全性の要件を深く理解している」と述べた。
そのうえで、「センシング、認知、計画、実行までを支える低遅延かつ高い安全性を備えた高性能技術を基盤に、知能機械を研究室から実環境へ移し、フィジカルAIの可能性を再定義していく」と語った。