写真=Samsung ElectronicsのHBM4製品

半導体市場で需給構造の変化が鮮明になってきた。汎用DRAMの2026年1〜3月期の契約価格は前四半期比90〜95%上昇する見通しで、需要家は価格交渉よりも調達量の確保を優先している。AI投資の拡大を受け、従来の好不況サイクルとは異なる局面に入りつつある。

半導体産業はこれまで、需要増に合わせて生産能力を増強し、供給過剰になると価格が急落するという、おおむね4年周期の循環を繰り返してきた。ただ、足元ではその構図が変わりつつある。AI需要が一時的な市況回復にとどまらず、市場構造そのものを押し変えているとの見方が強まっている。

需給の変化はデータにも表れている。TrendForceによると、2025年10〜12月期のDRAM業界売上高は前四半期比29.4%増の535億8000万ドルだった。

このうち、汎用DRAMの契約価格は45〜50%上昇した。汎用DRAMと広帯域メモリ(HBM)を合わせた平均契約価格も50〜55%上がった。

上昇基調は2026年1〜3月期も続く見通しだ。TrendForceは、汎用DRAMの契約価格が前四半期比90〜95%上昇すると予測した。価格が急騰する中でも、サーバー向け顧客は追加の値上げを受け入れ、まず調達を優先する動きを見せている。

背景にあるのは需要構造の変化だ。これまでメモリ需要はPCやスマートフォンの買い替えサイクルに大きく左右されてきたが、足元では様相が異なる。

TrendForceは、AIアプリケーションが大規模言語モデル(LLM)の学習段階から推論分野へと広がる中、クラウドサービス事業者(CSP)によるデータセンター投資がAIサーバーだけでなく汎用サーバーにも波及していると分析した。

世界のビッグテック各社はAIインフラの整備を急いでおり、こうした需要は景気循環に左右される短期需要ではなく、長期のインフラ投資に支えられる可能性が高い。大信証券は、2026年のメモリ半導体市場規模が前年比157%増の5632億ドルに達すると予測した。

同証券は、需給ギャップが過去最大の100ポイント超に拡大したとも説明している。

一方で、供給面の制約も想定以上に長引く見通しだ。これまでのサイクル局面では、需要増を受けた工場増設が供給拡大につながり、その後の価格下落を招いてきた。だが現在は、新工場を建設しても短期間で大幅な増産につなげるのが難しいという。

大信証券によると、複数の新工場計画が進んでいるものの、本格的に供給増に寄与するのは2027年上期以降になる見込みだ。クリーンルーム不足も供給拡大を阻む要因とされる。

さらに、HBM3EやHBM4といった高付加価値HBMの生産が最先端工程の能力を圧迫し、汎用DRAMに振り向けられる余力も縮小している。

加えて、2次元構造の微細化は限界に近づいている。工程移行の不確実性も高まっており、従来のような供給過剰による急激な価格下落は起きにくくなっているとの見方が出ている。

供給が一定水準にとどまる一方で需要は拡大しており、販売単価の上昇が続く構図だ。輸出データもそれを裏付ける。Hanwha Investment & Securitiesによると、2026年1〜2月期の半導体輸出は前年同期比131.1%増だった。

同期間の輸出増加分の8割超を半導体が占めた。汎用DRAM、HBM、NANDフラッシュがそろって伸びたことが背景という。業界では、市況調整で単価が下がる可能性はあるものの、AI需要の強さと高難度プロセスの制約を踏まえれば、なお市況の天井を懸念する局面ではないとの見方がある。

Samsung ElectronicsとSK hynixは、こうした需給環境の変化による直接的な受益企業とみられている。TrendForceによると、2025年10〜12月期のSamsung ElectronicsのDRAM売上高は前四半期比43%増の193億ドルとなり、市場シェア36%で首位を奪還した。

大信証券は、2026年のSK hynixのHBM出荷量が前年比56%増の192億ギガビット(Gb)に達すると予想した。Samsung ElectronicsのHBM売上高については、前年比189%増の24兆ウォンになると見込んでいる。

一方、中国勢の資本市場での動きは潜在リスクとして意識されている。CXMTが上期の新規株式公開(IPO)を推進していることに加え、YMTCも年内上場の可能性があるためだ。市況が再び悪化した場合、中国メーカーのシェアがむしろ急拡大する可能性があるという。

それまでに構造転換をどこまで進められるかが、韓国半導体企業の企業価値を左右する変数になるとの見方もある。

このため両社は、従来の市況サイクルへの依存を減らし、長期成長を前提とした事業構造への移行を急いでいる。供給面では、四半期ごとの契約から3〜5年の長期供給契約へと販売方式を見直し、収益の安定化を図る動きが進む。

HBMでは、受注を確定したうえで生産する方式を採用し、在庫リスクを構造的に抑えている。大信証券は、こうした変化について「サイクル変動を抑え、安定したフリーキャッシュフローの創出につながる」と分析した。

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