TeslaのAIチップ開発遅延は、自動運転・ロボット戦略にも影響する可能性がある(画像=Reve AI)

Teslaの次世代AIチップ「AI6」の開発が約6カ月遅れていることが分かった。背景には、Samsung Electronicsファウンドリーの2ナノ工程の遅れがある。AI6は自動運転車や人型ロボット「Optimus」、AIデータセンター向けを想定したチップで、遅延が今後の製品計画に波及する可能性がある。

Electrekが12日(現地時間)に報じたところによると、AI6の投入時期はSamsung Electronicsの2ナノ工程の準備遅れを受けて後ろ倒しになった。韓国の半導体専門メディアThe Elecも、2ナノ工程向けマルチプロジェクトウエハー(MPW)のプロトタイプ運用が約6カ月延期され、顧客各社のチップ開発日程に影響が出ていると伝えた。

影響はTeslaにとどまらない。同じ工程ノードを利用する韓国のAI半導体スタートアップDeepXでも、2ナノ工程で製造予定だったAIチップ「DX-M2」のスケジュールが遅れているという。

DX-M2は、約5ワットで最大1000億パラメータのモデルを実行できるオンデバイス生成AIチップ。当初は2027年2Qの量産を見込んでいたが、品質テストの開始は少なくとも2027年3Q以降になる見通しだ。

Teslaは昨年、Samsung Electronicsと約165億ドル規模の契約を締結し、米テキサス州テイラー工場で2ナノGAA(Gate-All-Around)プロセスによるAI6の生産を進める方針を決めた。契約期間は2033年までで、当初は月間約1万6000枚のウエハー生産能力を確保したとされる。

その後は、月間4万枚規模への拡張案も協議してきた。

もっとも、2ナノ工程の立ち上がりが遅れていることで、AI6の商用化時期もさらに後ろ倒しになる可能性が高まっている。業界では、2028年より前にTeslaの車両やロボットへ搭載するのは難しいとの見方が出ている。

この遅れはTeslaの半導体ロードマップ全体にも及んでいる。TeslaはAI5チップの量産時期も2027年半ばへ先送りしており、自動運転専用車「Cybercab」は既存のTesla AI4ハードウェアをベースに投入される予定だ。

Samsung Electronicsファウンドリー事業にとっても、今回の遅延は無視できない材料となる。Samsung Electronicsは先端プロセス競争でTSMCを追う中、2ナノ工程を中核戦略に位置付けており、Tesla向けAI6の生産やHBM4関連のロジックダイを成長ドライバーとしてきた。

一方で、MPWの延期は、歩留まりや技術成熟度の面でなお課題が残っていることを示すとの見方もある。

業界では、Teslaの意欲的な開発計画と半導体製造の現実との乖離が広がっているとの指摘も出ている。AIインフラ投資が拡大する中、自動運転やロボット技術を支える中核チップの商用化が遅れれば、TeslaのAI戦略にも一定の制約が生じる可能性がある。

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