人工知能(AI)向け半導体の大型化を背景に、基板材料の見直しが進んでいる。チップが大きくなるほど熱による反り(ワーページ)が課題となるなか、耐熱性や耐薬品性に優れるガラス基板が有力な選択肢として注目を集めている。
こうした需要を見込み、ドイツのガラス基板メーカーPLANOPTIK AGは韓国市場の開拓を本格化する。営業担当副社長のカルステン・ベッセルカンプ氏は、「SEMICON Korea 2026」に合わせてEU Business Hubプログラムを通じて訪韓し、ガラス基板事業の拡大方針を明らかにした。
同氏は「ガラスコアの需要拡大を受け、事業拡大を決めた」と説明。「長年培ってきたガラス加工技術を踏まえれば、半導体パッケージ市場への参入は自然な流れだった」と述べた。
PLANOPTIK AGは、54年間にわたり光学向けガラス加工技術を蓄積してきた。2000年には半導体およびMEMS(微小電気機械システム)センサー向け基板の製造に参入した。センサー製造に必要な断熱材料として、耐熱性と長期安定性の面でガラスが適していたためだという。
ベッセルカンプ氏は、ガラス基板は半導体製造工程の厳しい環境でも安定した特性を維持できると強調する。「半導体やPCBの製造では多くの化学物質を使用するが、すべての基板材料がそれに耐えられるわけではない」としたうえで、「ガラスは工程で使われる化学物質の大半に耐性があり、過酷な製造環境に適している」と語った。
樹脂系基板との違いについても、「樹脂材料は熱で変形しやすく、時間の経過とともに物性が変わる可能性がある。一方、ガラスは約500℃の高温でも形状を維持し、10〜20年単位でも物理特性が変化しにくい」と説明した。同氏は「長期安定性が求められる用途では、ガラスの優位性が大きい」としている。
高周波通信分野でも、ガラス基板の絶縁特性に期待を寄せる。ベッセルカンプ氏は「シリコンなどの導電性材料をコア基板に使うと、薄い絶縁層の上に寄生容量が生じる」と指摘し、「5G以降、6G、7Gへと高周波化が進むほど、導電性材料の採用は難しくなる」との見方を示した。ガラスは絶縁体であるため、この課題を回避できるという。
もっとも、ガラス基板の本格量産にはなお時間を要するとの認識も示した。その一方で、今後は多くの分野で材料転換が進む可能性があるとみている。
同氏は「ガラスを基板として加工する工程は新しく、既存材料より複雑だ」としつつ、「それでもガラスの利点が十分に大きければ、量産への移行は速く、既存材料の置き換えが進むだろう」と述べた。
PLANOPTIK AGは、すでに約15年前から韓国に顧客基盤を持つ。現在は薄膜ウエハーのハンドリング向けキャリアなどを供給しているという。
今後の韓国戦略についてベッセルカンプ氏は、「韓国には自動車メーカーが多く、自動車には各種センサーが不可欠だ」と述べ、「センサー用基板を生産する企業への材料供給を、韓国市場拡大の中核戦略に据える」と語った。さらに、「欧州と台湾では、センサーシステム市場向けウエハーを大量生産している」とし、「既存製品群を基盤に韓国市場を積極的に開拓していく」と付け加えた。