Samsung Electronicsは、ファウンドリー事業で2ナノ受注の拡大と量産安定化を進める一方、1.4ナノの2029年量産に向けた準備も本格化する。AIや高性能コンピューティング(HPC)向け需要を軸に、TSMCの追撃を急ぐ構えだ。
同社は最近の決算説明会で、中長期のロードマップを示した。柱となるのは、受注拡大、2ナノ量産の安定化、1.4ナノに向けた顧客対応基盤の整備だ。ファウンドリー事業部は、Teslaからの受注に続き、米国および中国の大口顧客と案件を協議中で、2026年の2ナノ受注は前年比130%超を見込むとしている。
2ナノでは、第2世代品の下期量産を目標に開発を進めている。これに先立ち、第1世代の新製品は量産立ち上げの段階に入った。4ナノのHBMベースダイ製品についても出荷を開始した。
ファウンドリー事業部のカン・ソクチェ副社長は、歩留まりと性能の目標を達成しており、開発は順調だと説明した。主要顧客とPPA評価やテストチップ開発を並行して進めており、量産前の技術検証も計画通りだという。
1.4ナノは、2029年の量産開始を目標に開発を進めている。主要マイルストーンを順次達成しており、来年下期にはPDK(Process Design Kit)バージョン1.0を顧客に配布する計画だ。顧客の事前設計を支援し、早期に案件化へつなげる狙いがある。TSMCは1.4ナノ級の「A14」を2028年に量産する計画で、Samsung Electronicsはその1年後を目指す形となる。
差別化戦略の中核に据えるのは、「ワンストップソリューション」だ。パク・スンチョル最高財務責任者(CFO)は、DS部門について、ロジック、メモリ、ファウンドリー、先端パッケージングまでを一括で提供できる世界唯一の半導体企業だと強調し、AI半導体市場で主導権を逃さない考えを示した。
特に注力するのがHBMだ。ロジック工程ベースのベースダイと、メモリ工程ベースのコアダイを3D積層する製品について、開発と量産の協力を進めている。ワンストップソリューションを求める複数の顧客と、製品化や事業化に向けた協議も並行して進めており、中長期的にはターンキー型事業モデルの成果創出を見込む。
先端パッケージングの強化も急ぐ。3Dハイブリッド銅ボンディング(Hybrid Copper Bonding)技術の構築など、アドバンストパッケージ分野の競争力確保に取り組む。米テキサス州テイラーの新工場についても、2026年の稼働開始を目標に建設を進めている。
一方、業績面では改善期待も出ている。Kiwoom Securitiesは、Samsung Electronicsの非メモリ部門について、2026年は営業赤字3兆6000億ウォン(約3960億円)を見込む一方、2027年には営業利益1兆8000億ウォン(約1980億円)と黒字転換すると予想した。Exynos 2700のGalaxy S27への採用比率が約50%に達し、2ナノ(SF2P)の歩留まり改善が進むとの見方に基づく。
Galaxy S26におけるExynosの採用比率が約25%であることを踏まえると、2倍の水準に拡大する計算になる。Kiwoom Securitiesは、Exynos 2700の採用拡大要因として、SF2Pの歩留まり改善、ベンチマーク性能の向上、顧客側のコスト削減ニーズの高まりを挙げた。
もっとも、課題は残る。先端工程ではTSMCとの差を縮める必要があり、成熟工程では中国勢との価格競争にも対応しなければならない。受注拡大と歩留まり改善を両立できるかが、今後の焦点となる。カン副社長は、成熟工程について、中国を中心とする増設が続いており、競争激化が続くとの見方を示した。