SPCグループで、持株会社SMDH(Sangmidang Holdings)の発足から約1カ月で安全管理を巡る懸念が再燃している。SPC Samlipのシファ工場で大規模火災が発生したためだ。同工場では昨年5月、50代の女性従業員が機械に挟まれて死亡する事故も起きており、新体制の実効性が早くも問われる形となった。
SPCグループは1月13日、持株会社SMDHを立ち上げ、持株会社体制に移行した。急変する経営環境や海外事業の拡大に対応し、より透明な企業構造と専門性の高い経営体制を整える狙いとしている。
これまでグループでは、Paris Croissantが複数の系列会社を支配し、事実上の持株会社として機能してきた。今回の再編では、Paris Croissantから事業部門を切り離し、SMDHを純粋持株会社として位置付けた。
SMDHの社名は、故ホ・チャンソン名誉会長が創業したパン店「サンミダン」に由来する。グループ全体の環境・社会・ガバナンス(ESG)を強化するコントロールタワーの役割を担うとしている。
発足時、SMDHは安全管理を前面に打ち出していた。コンプライアンス、安全、革新といった中核価値を系列各社に一貫して浸透させる方針を示し、相次いでいた安全事故への対応強化として受け止められていた。
だが、シファ工場での火災発生によって、その看板の実効性には早くも疑問符が付いた。京畿道消防災難本部などによると、火災当時に作業していた従業員12人のうち3人が煙を吸う軽傷を負った。
火災の規模は大きく、消防当局は31〜50台の装備を動員する「対応1段階」を発令した。現場にはポンプ車など約50台の装備と消防隊員約130人が投入された。
当局の調査によると、当時544人が働いていた建物には屋内消火栓設備はあった一方、スプリンクラーは設置されていなかったという。
シファ工場の全面停止により、ハンバーガーチェーンなどB2Bの取引先向け供給にも支障が出た。SPC SamlipはBurger King、Shinsegae Food、Lotteria、KFCなど国内の外食ブランドにパンを納品しており、一時は供給混乱を懸念する声も上がった。
SPC Samlipによると、同社は城南や大邱の代替設備を活用して生産を続け、2月5日から供給を再開したという。
もっとも、焦点は供給面だけではない。シファ工場では昨年5月にも、従業員が機械に挟まれて死亡する事故が発生していた。同じ工場で再び重大事故が起きたことで、安全管理能力そのものが改めて問われている。
当時は、50代の女性従業員がクリームパン冷却用コンベヤーベルト機械に潤滑油を散布する作業中、コンベヤーベルトに上半身を挟まれた。病院に搬送されたが、その後死亡した。
SPCグループは、工場で死亡事故を含む安全事故が相次いだことを受け、再発防止策を打ち出してきた。2022年に平沢のSPL工場で死亡事故が起き、消費者の不買運動が広がった際には、外部専門家で構成する「SPC安全経営委員会」を設置。3年間で安全管理に約1000億ウォンを投じると約束した。
それにもかかわらず、3年後に再び死亡事故が発生すると、同グループは2027年までに約600億ウォン以上を追加で安全管理予算に充てる計画を明らかにした。
死亡事故直後の2025年5月19日には、SPC Samlipが「SPC Samlip安全事故フォローアップ措置」と題する謝罪文を掲載し、再発防止を約束した。
同社は、ファン・ジョンヒョンSPC Samlip管理代表とキム・ボムスSPC Samlip事業代表の名義で、毎月の安全点検や四半期ごとの外部専門機関との合同点検、モニタリング体制の構築などによる「安全システム強化」を提示した。このほか、生産ラインの稼働と勤務形態を見直す「安全中心の生産体制再構築」、現場の慣行を改めてフィードバックにつなげる「現場安全文化構築」も掲げていた。
それでも、SMDH発足から1カ月もたたないうちに、同じ工場で大規模火災が起きた。新たな持株会社体制が掲げた安全重視の方針を、実際の現場にどこまで落とし込めるのか。SMDHの安全管理体制の構築・実行能力に注目が集まっている。