太陽光パネルのイメージ(写真=Shutterstock)

人工知能(AI)データセンターの立地選定で、再生可能エネルギーを安定調達できるかどうかが重要な条件になっている。こうした中、韓国では電力調達に伴う炭素コストが、データセンターそのものの建設よりも、入居するグローバル企業の誘致競争を左右する要因になりつつあるとの指摘が出ている。

エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は、化石燃料発電の比率が58.5%(2023年)に達する韓国の電源構成について、企業誘致競争で構造的な弱点になり得ると分析した。

IEEFAによると、国ごとの炭素価格の差により、LNG中心の電力を使う韓国の工場で生産した製品をEUに輸出する際には、追加の炭素コストが発生する。この構造は、半導体クラスターやAIデータセンターを巡る取引上のリスクや生産コストを押し上げる可能性があるという。

欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)の全面施行により、こうした課題は一段と表面化している。IEEFAは、韓国の電力の炭素集約度が436gCO2/kWh、液化天然ガス(LNG)火力に限れば約490gCO2/kWhに達すると指摘する。石炭火力(約1000gCO2/kWh)の半分程度ではあるものの、再生可能エネルギーと比べればなお高水準だ。

EU排出量取引制度(ETS)と韓国排出量取引制度(K-ETS)の炭素価格差も重荷になる。韓国のデータセンターでLNG由来の電力を使う場合、EU市場向け事業では追加的な炭素負担が発生し得るためだ。施設そのものが最新であっても、使用電力に伴う炭素コストが高ければ、入居企業の運用負担は重くなる。

再生可能エネルギーの拡大ペースも、今後の企業誘致の競争力を左右する。炭素コストに加え、電力の確保自体がボトルネックになっているためだ。ユアンタ証券によると、AIデータセンターの電力需要は、従来の100〜300MW単位の分散型増設から、GW級の集中負荷へと移行している。

AIサーバーのラック当たり電力は600kW超まで上昇した。1MWラックを1000台導入し、電力使用効率(PUE)1.3を適用した場合、実際の受電電力は約1.3GWに達する計算になる。

一方、データセンターの建設期間は18〜24カ月なのに対し、765kV送電網の増強には3〜7年を要する。系統インフラの整備が、需要拡大のスピードに追いついていないというわけだ。

背景には、石炭火力の縮小がLNG依存の拡大につながる構図がある。IEEFAによると、2017〜2023年に韓国の石炭火力は23%減少した一方、ガス火力は25%増加した。

石炭火力による二酸化炭素(CO2)排出量は1億8500万トンに減少したものの、ガス火力の排出量は7700万トンに増えた。その結果、電力部門全体のCO2排出量は2億5600万トンとなり、むしろ6%増加した。

石炭火力の削減が脱炭素に直結していない中、韓国政府は韓米のエネルギー合意に基づき、米国産LNGを年900〜1000万トン追加輸入する方針を示した。2024年の輸入量560万トン(全体4633万トンの12%)のほぼ2倍に相当し、再生可能エネルギーではなく化石燃料への依存が一段と強まる可能性がある。

データセンター完成後のグローバル企業誘致の局面でも、再生可能エネルギーの確保は重要な条件になっている。韓国政府も、気候エネルギー環境部の新設とあわせ、再生可能エネルギー中心への転換政策を本格化させている。

太陽光発電設備を巡る離隔距離規制の緩和は法制化され、3月には洋上風力特別法が施行される。

ユジン投資証券は、韓国の年間の再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵システム(BESS)の設置量が、現在の3GW台から2030年までに10GW規模へと3倍超に拡大するとの見通しを示した。ただ、政策転換が実際の導入拡大につながるかどうかはなお不透明だ。

IEEFAは、2026年上半期に公表予定の第12次電力需給基本計画で政策転換を進めるよう求めた。石炭火力の削減はLNG依存の拡大ではなく、再生可能エネルギー導入の加速と並行して進める必要があり、韓国産業のサプライチェーンにおける炭素リスクの緩和につなげるべきだと提言している。

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