2月の世界のVC投資はAI関連企業に大きく偏った。Crunchbaseの最新レポートによると、同月の世界のスタートアップ向けVC投資額は1890億ドル(約28兆3500億円)となり、このうちAI関連は1710億ドル(約25兆6500億円)で全体の約9割を占めた。OpenAI、Anthropic、Waymoの3社だけで総額の83%に達した。
TechCrunchが3日(現地時間)に伝えた同レポートでは、2月の投資額は1月から3倍超に拡大した。単なる増加ではなく、世界のVCマネーがAI分野に集中している構図がより鮮明になった格好だ。レポートは、足元の資金の流れについて、特定技術への一時的な関心を超え、AIを軸に産業構造の再編が進んでいることを示していると分析した。
記録的な資金流入をけん引したのは、少数の超大型案件だ。中でもOpenAI、Anthropic、Waymoの3社への資金集中が目立った。
最大の調達先はOpenAIで、直近で1100億ドル(約16兆5000億円)を確保し、企業価値は7300億ドル(約109兆5000億円)と評価された。非公開の投資ラウンドとしても過去最大級の規模となる。
競合のAnthropicは、300億ドル(約4兆5000億円)規模のシリーズGラウンドを完了し、企業価値は3800億ドル(約57兆円)となった。生成AIの安全性や大規模言語モデル(LLM)を巡る競争が激しさを増す中、ビッグテックや機関投資家の資金が流入したとみられる。
自動運転技術を手がけるWaymoも、160億ドル(約2兆4000億円)を調達し、企業価値は1260億ドル(約18兆9000億円)となった。完全自動運転の商用化期待を背景に、AIを基盤とするモビリティ企業への投資資金が改めて向かった形だ。
注目されるのは、この3社が1カ月で集めた資金が、2025年の世界VC投資総額4250億ドル(約63兆7500億円)の3分の1に相当する点だ。特定分野の少数企業に資金が集まる「メガラウンド」の傾向は、AI分野でとりわけ顕著になっている。
VC業界では、AIは有望分野の一つにとどまらず、資本配分の中心に位置付けられつつあるとの見方が強い。これまで投資資金はフィンテックやバイオ、クリーンテックなどに分散してきたが、足元ではAIがその大半を吸収する状況になっている。
一方で、投資の偏りに対する警戒もある。超大型ラウンドが相次ぎ、企業価値は急速に切り上がっているが、実際の収益力や市場支配力がそれを裏付けるかどうかはなお見極めが必要だからだ。とりわけ生成AIサービスの収益モデル、インフラコスト、規制対応は、今後のバリュエーションを左右する主な要因として挙げられている。
それでも、世界の資金の向かう先は明確だ。クラウド、半導体、自動運転、ロボティクスなど幅広い産業でAIが再編の軸となる中、投資家はプラットフォームを握る有力企業に先行して大型資金を投じている。
AIがVC市場の構図を塗り替える中、こうした超大型投資が持続的な成長につながるのか、それとも新たなバブル論争を呼ぶのか。市場の関心が集まっている。