米食料品配送アプリのInstacartが、会社売却の可能性を探っている。米メディアのThe Informationが23日(現地時間)に報じた。
報道によると、企業価値が120億ドル(約1兆8000億円)とされるInstacartは、投資銀行と協議しながら売却案を検討している。DoorDashとUberの双方と初期段階の協議を進めたという。
もっとも、取引成立の見通しは不透明だ。Uber関係者は、同社との協議は現在進んでいないと説明した。
最近の上場テック企業の買収でみられるように、30〜40%のプレミアムが上乗せされれば、買収額は160億〜170億ドル(約2兆4000億〜2兆5500億円)規模になる可能性がある。報道を受け、Instacart株は10%上昇した。
一方で、反トラスト審査は大きな障壁になり得る。DoorDashとUberはいずれも食料品配送事業を手掛けており、競争当局の審査対象となる可能性がある。The Informationは、トランプ政権下の反トラスト当局が一部事業の売却を条件に買収を容認する事例を増やす一方、直接競合する企業同士の統合については引き続き厳しく調べる可能性があると伝えた。
Instacartは2021年にもDoorDashと売却交渉を進めていた。当時取り沙汰された買収額は400億〜500億ドル(約6兆〜7兆5000億円)だったが、バイデン政権下で反トラスト当局の承認が不透明だったため、協議はまとまらなかった。
Instacartは新型コロナウイルス禍で急成長したが、パンデミック収束後は成長が鈍化した。2023年には企業価値100億ドル(約1兆5000億円)で上場し、株価は公開価格比で70%上昇している。
ただ、上場後の成長ペースは競合を下回った。広告事業にも参入したものの、売上高成長率は2023年の19%から、2024年と2025年はいずれも11%へ鈍化した。