NVIDIAのジェンスン・フアンCEO(写真:Shutterstock)

NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は22日、AI特化型クラウド事業者の需要が急増している一方で、成長を支える資金が不足し、供給拡大の制約になっているとの認識を示した。欧州では電力の確保も大きな課題になると指摘した。

米CNBCによると、フアンCEOはドイツ・ベルリンで開催された「NVIDIA GTC」で、「ネオクラウドの需要は爆発的だが、それを支える運転資本が足りない」と述べた。

フアンCEOは、AI特化型クラウド事業者を巡る事業環境について、「需要そのものはすでに十分にある」と強調した。そのうえで、需要の強さに対し、実際の事業拡大では資金調達がボトルネックになっていると説明した。

さらに、「AI需要が産業全体で同時多発的に立ち上がっており、成長を後押しする運転資本が不足している」とも語った。

資本不足は単なる投資マインドの問題ではなく、供給能力の拡大を直接的に制約しているという。フアンCEOは、資金需要が資金の供給可能量を大きく上回っているとし、この状況はいずれ解消に向かうものの、当面は市場拡大のスピードを鈍らせる要因になるとの見方を示した。

一方、欧州では電力がより大きな制約になり得ると指摘した。AIブームの主要なボトルネックの1つは電力で、特に電力コストの高い欧州では、エネルギー配分が重要な変数になると説明した。

ネビウスやミストラルのような企業が成長するには、限られた電力をこうしたインフラ事業に優先的に配分することが重要だとの考えも示した。

また、欧州でAIエコシステムを拡大する出発点として、自前のインフラ整備の必要性を挙げた。フアンCEOは「欧州に投資を呼び込むことはできるが、出発点は自前のインフラを持つことだ」と述べ、「欧州のネオクラウド事業者が域内にインフラを構築できれば、その上にAIエコシステムとAI経済を築くことができる」と語った。

そのうえで、「欧州全体で、さらに多くのネオクラウドが必要だ」と付け加えた。

こうした発言は、NVIDIAが欧州のAI市場への関与を強めている流れと重なる。同社は今月に入り、欧州での現地投資拡大を加速しており、企業や大学、研究機関を対象に総額100億ドル近い資金を投じる方針を示している。

先週には英国ロンドンで、現地スタートアップ5社に対する10億ドル超の持分投資を発表した。フランスのスタートアップへの投資も進めている。

欧州でAI演算需要が増えるなか、NVIDIAは半導体供給にとどまらず、インフラ整備やエコシステム形成の段階まで関与する戦略を鮮明にしている。

フアンCEOは欧州での取り組みについて、「欧州でAI経済のエンジンを始動させようとしている」と述べた。さらに、「欧州は膨大な技術力と産業ノウハウ、優れた科学技術を持っており、ここでAI経済を構築する準備ができている」と語った。

NVIDIAが見ている欧州AI市場の課題は、需要不足ではなく、インフラ、資本、電力にある。欧州でネオクラウド事業者がどこまで迅速に設備を確保し、限られた資本とエネルギーを呼び込めるかが、現地AIエコシステム拡大の速度を左右しそうだ。

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