Cardanoの課題は、技術力の有無ではなく、時価総額に見合うネットワーク利用をどこまで拡大できるかにある――。暗号資産研究者のジョン・ナカモト氏はこうした見方を示し、価格下落だけを理由にADAを「死んだ資産」と判断すべきではないと訴えた。
ブロックチェーンメディア「The Crypto Basic」が7日付で伝えた。ナカモト氏は、Cardanoについて、時価総額に比べて実際の経済活動が乏しい点を問題視した。技術や資本が実需につながっているかどうかを見極めるべきだと主張している。
同氏は、Cardanoが2021年の上昇局面で時価総額3位まで浮上した経緯に言及した。2021年9月3日時点のADA価格は約2.97ドル、時価総額は約950億ドルだった。その後はいったん3ドルを上回ったものの、長期的な下落局面に入り、高値からは92%超下落したという。
そのうえで最大の課題として挙げたのが、ネットワーク利用の低さだ。Cardanoの時価総額は約102億ドルに対し、分散型金融(DeFi)の総預かり資産(TVL)は約7100万ドルにとどまるとした。投資家が期待するのは、ユーザー数や流動性、アプリケーション、取引活動の拡大であり、技術改善が実際のエコシステム成長に結び付く必要があると強調した。
流動性拡大策としては、ステーブルコイン「USDCx」を挙げた。USDCと1対1で連動するUSDCxを通じて、Cardano上でもドル建て流動性を活用しやすくなるという。外部ブリッジへの依存を過度に高めることなく、エコシステム内への資金流入を促せるとの見方を示した。
ネットワークのアップグレードやガバナンス面の変化にも前向きな評価を示した。あるハードフォークでは、提案から議論、承認までをコミュニティがガバナンスの枠組みの中で主導した点に意義があると指摘した。
スケーラビリティプロジェクト「Leios」にも注目している。構成要素の1つである「Input Endorsers」は、ネットワーク処理能力を10〜65倍に高めることを目標としているが、現時点ではなお開発段階にあるという。
また、約14億ADAとされるトレジャリーの活用も重要な論点だとした。トレジャリーの規模が大きいだけでネットワーク価値が自動的に高まるわけではなく、資金の使い道が新規ユーザーや流動性の流入、DeFi取引の活性化、手数料収入の増加、アプリケーション拡大につながる必要があると説明した。
実物資産連動(RWA)のトークン化では「CIP-113」に触れた。これは、トークンに本人確認(KYC)や承認済みユーザー一覧、送金制限、地域制限、凍結といったルールを反映できる設計だという。一方で、それ自体が法令順守を保証するものではなく、ステーブルコインやトークン化証券で求められる規制要件を送金ルールとして実装するための仕組みに近いと位置付けた。
主要取引プラットフォームでの対応も続いている。Robinhoodが米国の顧客向けに提供する無期限先物では、対応資産にビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRPなどと並んでADAが含まれた。ADAの契約は満期がなく、最大3倍のレバレッジを提供するという。
ただ、ナカモト氏は、これをもってCardanoのDeFi競争力を裏付ける材料とみなすのは難しいとした。その一方で、ADAに対する市場の関心や流動性がなお維持されている兆候ではあると述べた。
同氏は、Cardanoを「死んだプロジェクト」と切り捨てるのではなく、保有する基盤をどれだけ効果的に活用できているかで評価すべきだと強調した。技術、トレジャリー、ガバナンス、インフラを備えている以上、次の焦点は実利用への接続にある。ユーザーと資金が流入し、DeFiや実物資産関連プロジェクトが成長すれば、市場価値とネットワーク活動の乖離は縮小し得るとの見方を示した。