米国のベンチャー投資が2026年1〜9月で過去最高を更新した。投資額は累計5158億ドルに達したが、IPOの低迷を背景に回収環境は改善していない。AI関連の超大型調達が市場全体を押し上げる一方、資金とEXIT機会の偏在も鮮明になっている。
SiliconANGLEが8日(現地時間)、PitchBookと米国ベンチャーキャピタル協会(NVCA)のデータを基に報じたところによると、2026年の米国ベンチャー投資額は従来の年間最高を約44%上回った。中でもOpenAIとAnthropicの2社は、上半期だけで計2000億ドル超を調達し、市場拡大をけん引した。
一方で、この2社を除けば投資動向は2024年末以降と大きく変わっていないとの見方もある。
2026年第3四半期の投資額は984億ドルで、前四半期比では約40%減少した。ただ、取引件数は5012件と、2022年初め以降の高水準に近づいた。
2026年の投資額全体に占めるAI関連の比率は82.7%と過去最高だった。ただし、第3四半期に限れば65.9%へ低下した。同四半期で最大の調達案件は、クラウドベースのデータ・AIプラットフォームを手掛けるDatabricksによる50億ドルだった。
一方、課題として残るのが回収市場だ。第3四半期の回収額の53.1%は、SpaceXによるAIコーディングツール「Cursor」の開発元Anysphereの買収1件が占めた。
SpaceXはAnysphereを、企業価値600億ドルで買収した。これを除くと、第3四半期の回収額は530億ドルにとどまり、2024年末以降で最低水準となる。
IPOも活発とは言えなかった。第3四半期に上場したベンチャー企業は18社で、このうち12社をヘルスケア企業が占めた。市場が期待する大型AI企業の上場は実現していない。
PitchBookは、OpenAIとAnthropicのIPO時期の後ずれを、ベンチャー市場の流動性を左右する主因の1つに挙げた。
未上場企業の滞留も深刻さを増している。9月末時点で、企業価値10億ドル以上のユニコーン企業は過去最多の992社に達し、合計評価額は5兆7000億ドルとなった。
ベンチャーファンドの資金調達でも偏りが目立つ。調達総額1085億ドルのうち、78%が5億ドル以上の大型ファンドに集中した。AIが市場規模を押し上げた半面、資金と回収機会は一部企業と大型ファンドに集まる構図が一段と鮮明になっている。