ビットコインの値動きが過去10年で落ち着きつつあり、「デジタルゴールド」としての性格を強めている――。米暗号資産運用会社Bitwiseの最高投資責任者(CIO)、マット・ホーガン氏がこうした見方を示した。米国の現物ビットコインETFの上場を受け、機関投資家の参入が進んでいることも背景にあるという。
CoinPostの8日付の報道によると、ホーガン氏は米紙The Wall Street Journalの広告企画「Bitcoin Reframing」に寄稿した論考で、ビットコインが金に近い価値保存手段へと成長する過程にあると論じた。
同氏は、ビットコインに対する代表的な批判である価格変動の大きさに言及した。過去1年の価格は12万6000ドルから5万8000ドルの間で推移したとしながらも、金と単純比較するのは適切ではないと主張した。
その理由として、金は数千年の歴史を持つ一方、ビットコインの歴史は17年程度にとどまる点を挙げた。時価総額も、金が28兆ドルであるのに対し、ビットコインは1兆7000億ドルと大きな開きがある。
ホーガン氏は、現在の規模や安定性をそのまま比べるのではなく、ビットコインが金のような資産へ向かっているかどうかを見るべきだと指摘した。「重要なのは、ビットコインが金のような存在になる軌道に乗っているかどうかだ」としている。
一般に、デジタルな価値保存手段は普及初期には市場規模が小さく、値動きも大きくなりやすい。ただ、成長とともに価格は上昇し、安定性も増し、投資家層も広がっていくと同氏は説明する。
実際、同氏が示したデータでは、ビットコインの年率換算ボラティリティは直近10年で66%、直近5年で52%、直近3年で47%、直近1年で44%へと低下した。価格が20年足らずで1ドル未満から10月初旬時点の8万5000ドル水準まで上昇する一方、ボラティリティは緩やかに縮小してきたという。
市場構造の変化を支える要因として、機関投資家マネーの流入も挙げた。米国で現物ビットコインETFが上場して以降、機関投資家の参加が広がり、ビットコイン相場は過去に比べて安定しやすくなっているとの見方だ。
JPモルガンは3月のリポートで、米国とイランの緊張が高まった2月27日以降、最大の現物金ETFであるGLDから約2.7%の資金流出があった一方、BlackRockの現物ビットコインETF「IBIT」には約1.5%の純流入があったと分析した。
もっとも、ホーガン氏は、ビットコインが最終的に金と同等の地位を確立できるかどうかについては、なお市場の評価が定まっていないとした。現時点では、投資家は損失を許容できる範囲に限ってビットコインを保有すべきだと助言している。
保有比率が小さくても意義はあるという。ホーガン氏によると、2015年以降、株式60%、債券40%で構成したポートフォリオの年率ボラティリティは約9.8%だった。ここから1%をビットコインに振り向け、四半期ごとに比率を調整した場合でも、ボラティリティは約10%とほぼ変わらず、年率リターンは1ポイント近く高まったという。
ただし、こうした過去の実績が今後もそのまま再現される保証はないとも付け加えた。
ビットコインが金を完全に代替するかどうかは、なお不透明だ。それでもホーガン氏は、ビットコインのボラティリティが長期的に低下し、機関投資家の参加拡大も進むなかで、金のような価値保存手段として定着する兆しが見え始めているとみている。