日本の国債利回り上昇と機関投資家による海外債券の売り越しが重なり、ビットコイン市場ではグローバルな資金調達環境の変化に対する警戒感が意識されている。高利回りでも日本国債に資金が向かう構図が続けば、リスク資産への資金流入に影響する可能性があるためだ。
CryptoSlateが7日、こうした見方を報じた。日本財務省が6日に実施した10年国債入札では、平均落札利回りが3.101%となり、9月1日の2.995%から10.6bp上昇した。一方、競争入札の応札倍率は約3.29倍から3.76倍に上昇し、利回り上昇局面でも需要の強さが確認された。
最低落札価格に基づく利回りと平均落札利回りの差を示す「テール」も、1.6bpから0.2bpへ縮小した。高い利回り水準でも投資家の需要が底堅かったことを示しており、国内資金が日本国債へ向かう動きが強まる可能性を示唆している。
背景の一つとして注目されているのが、日本の機関投資家による海外債券の売却だ。財務省が10月1日に公表した資金フロー統計によると、日本居住の主要報告機関は9月13〜19日に長期海外債券を1兆9049億円売り越し、9月20〜26日も6845億円の売り越しとなった。2期間の合計では2兆5894億円に達する。
もっとも、この統計だけで特定資産への資金シフトを断定することはできない。集計は発行体の居住地ベースで行われており、米国債を売却したのか、為替交換がどの程度行われたのか、日本国債に再投資されたのか、あるいはビットコイン購入に向かったのかまでは区別していない。
それでも市場が注目するのは、資金調達環境への波及だ。日本の機関投資家が海外債券より国内債を選好し続ければ、海外債券への需要低下や借入コスト上昇につながる可能性がある。そうなれば、ビットコインを含むリスク資産に向かう資金が細る要因になり得る。CryptoSlateはこれを、ビットコインに対する潜在的な資金調達圧力と位置付けた。
この見方を補強する材料として、国際決済銀行(BIS)の研究者によるワーキングペーパーも挙げられる。同ペーパーは2017年から2024年半ばまでのデータを基に、グローバルな資金調達環境と投機的な動機が、国境をまたぐビットコインやイーサリアムへの資金フローを左右する重要な要因だと指摘した。価格水準そのものよりも、資金をどれだけ容易に調達できるかが市場流入に影響し得るという。
一方で、日本の債券配分の見直しと円キャリートレードは切り分けてみる必要がある。機関投資家のポートフォリオにおける債券比率の調整は、借り入れた円でレバレッジをかける取引とは性格が異なる。また、10年国債利回りは短期の円資金調達コストを直接示す指標でもない。
BIS研究者は2024年8月時点の分析で、ディレバレッジや証拠金引き上げが当時の市場変動性を高めたと説明している。ただ、それが現時点で同様の巻き戻し局面を直ちに示すものではないとの見方も示した。
今後の焦点は2つある。日本の機関投資家による海外債券の売り越しが続くかどうか、そして別途観測される資金調達ストレスが併存するかどうかだ。CryptoSlateは、海外債券の売りが続き、資金調達ストレスも独立して確認されれば、ビットコインに対する資金面の圧力という見方と整合的になる可能性があるとした。逆に、海外債券の買いが再開し、資金市場が安定すれば、今回の解釈の説得力は薄れる可能性がある。