米共和党のスティーブ・デインズ上院議員は9月30日、暗号資産の税制を見直す法案「ADAPT Act」を提出した。一定条件を満たすステーブルコインによる商品・サービス購入や少額のネットワーク手数料の支払いを非課税とし、暗号資産の日常利用を後押しする一方で、ウォッシュセール規定など租税回避を防ぐ措置も盛り込んだ。
ブロックチェーン関連メディアのCoinPostが報じた。共同提出者にはシンシア・ルミス氏、バーニー・モレノ氏、ティム・スコット氏が名を連ねる。納税者、事業者、米国歳入庁(IRS)にとって分かりやすく、執行しやすい制度設計を目指すとしている。
米下院歳入委員会が9月17日に「デジタル資産税制明確化法」を賛成38、反対5で可決し、本会議に送ったのに続き、上院側でも暗号資産を巡る法整備が進みつつある。
法案では、一定の要件を満たす米ドル建てステーブルコインを使って商品やサービスを購入した場合、課税上の損益認識を不要とする。資本利得課税の対象外とし、ブローカーに課される情報報告義務も免除する。
対象となるのは、GENIUS法に基づいて発行され、米財務省が四半期ごとに公表するリストに掲載された米ドル建てステーブルコインだ。適用範囲は商品・サービスの購入に限られ、トレーダーやディーラーは対象外となる。
暗号資産でガス代などのネットワーク手数料を支払う場合も、1取引当たりの総額が10ドル以下であれば、課税上の損益認識は不要とする。この場合も、ブローカーの情報報告義務は免除される。
一方で、トレーダー、ディーラー、バリデーター、年間5000件を超える高頻度利用者に加え、制度適用だけを目的とした取引は優遇措置の対象から外す。
法案はこのほか、株式やコモディティに適用されてきた税務ルールの一部を暗号資産にも広げる。暗号資産のトレーダーとディーラーには時価評価会計の選択を認め、外国人投資家の取引に関する課税免除や、暗号資産の寄付に関する簡素化措置にも既存ルールを適用する。
租税回避防止策としては、株式などで用いられてきたウォッシュセール規定を暗号資産に初めて導入する。損失を確定させた後、売却の前後30日以内に実質的に同一の資産を買い戻した場合、税務上の損失控除を認めない。
建設的売却(constructive sale)規定も適用し、実際には売却していなくても、実質的に売却したとみなされる取引を課税対象とする。
ステーキングとマイニングの課税基準も整理した。関連所得の源泉地は、受領者の居住地を基準に判断する。
米証券取引委員会(SEC)の規制対象となる上場投資信託(ETF)などについては、単一のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)資産を外部事業者経由でステーキングした場合でも、受動的投資信託としての税務上の扱いを維持できるようにした。
公開取引パートナーシップでは、ステーキング報酬、暗号資産の貸し出し収益、売却益を適格所得として認める一方、取引所、貸付業者、ブローカー、ディーラーの手数料収益は除外する。
法案には、Coinbase、Blockchain Association、Crypto Council for Innovation、Fidelity Investments、Digital Chamberが支持を表明した。