カナダが、外国製ロケットへの依存低減に向けて国産打ち上げ産業の育成を急いでいる。国防省の衛星打ち上げ計画では3社を支援対象に選定したほか、Canada Rocket Companyは小型ロケットを経ず、中型打ち上げ機「R-2」を直接開発する方針を打ち出した。
米Ars Technicaが1日付けで報じたところによると、Canada Rocket Companyは小型ロケットの開発段階を省き、中型打ち上げ機R-2の開発に集中する。
カナダ政府は3月、国防省の「カナダ自力衛星打ち上げプロジェクト(Launch the North)」を通じて、NordSpace、Reaction Dynamics、Canada Rocket Companyの3社を初回の支援対象に選定した。各社には833万カナダドルを拠出する。事業全体では今後3年間で1億500万カナダドルを投じる計画だ。狙いは、カナダ製ロケットを使い、自国領内から衛星を打ち上げる独自能力の確立にある。
Canada Rocket Companyが開発を進めるR-2は、低軌道に最大12.5トンを投入できる中型打ち上げ機だ。メタンエンジン9基を搭載し、ガスジェネレーター・サイクルを採用する。将来的には第1段の再使用を見据え、着陸装置も備える計画だ。初打ち上げの目標時期は2032年としている。
同社は、約150人のエンジニアによる検討の結果、小型打ち上げ機の開発で得られる知見の多くは中型ロケットにそのまま生かせないと判断したと説明した。これを踏まえ、開発戦略を見直したとしている。
カナダ政府も、宇宙打ち上げ分野の戦略的重要性を強めている。今年公表した国防産業戦略では、宇宙を「10の中核的な主権能力」の一つに位置付け、宇宙打ち上げを優先分野に盛り込んだ。
Canada Rocket Companyは、オンタリオ州ロンドン近郊の50エーカーの敷地に「ジェレミー・ハンセン試験施設」を整備する計画だ。施設には最大3基の垂直・水平試験台を設け、推力1MN超のロケットエンジンを試験する。約2年後に自社製「E-1」エンジンの試験開始を目指す。