AirPods Pro 3 写真=Apple

9月はAppleやSony、Boseなど主要オーディオメーカーがヘッドホン・イヤホンの新製品を相次いで打ち出し、ポータブルオーディオ市場で存在感を競った。エントリー帯からプレミアム帯まで製品が出そろい、世代更新や価格帯拡大、エコシステム強化といった各社の戦略の違いも鮮明になっている。

TechRadarが9月30日付で報じたところによると、Apple、Sony、Bose、Sonos、Nothing、Technicsなどが9月に新たなヘッドホン/イヤホン製品を順次発表した。

先陣を切ったのはAppleだ。9日に開催した年次イベント「Surprise and Shine」で、AirPods 5を2モデル発表した。比較的手ごろな価格帯を前面に打ち出し、これまでプレミアム中心だったワイヤレスイヤホン市場で裾野の拡大を狙ったとみられる。

Appleの発表後には、Sonyも新型ヘッドホン3機種を投入した。WH-CH730N、WH-CH530、WH-1000XM4Cで、人気シリーズを2026年モデルとして更新する位置付けだ。実績のある製品群を再整備し、競争力の維持を図る構えといえる。

AppleはBeatsブランドでも新製品を追加した。「Beats 360」は、イヤーカップとヘッドバンドのカラーをユーザーが組み合わせられる仕様を採用した。AirPodsとBeatsを並行展開し、異なる嗜好や需要層を取り込む戦略を継続しているとみられる。

Sonosは、自社デバイスとの連携を強化した製品を投入した。「Sonos Ace Ultra」は、従来モデルで指摘されていたSonosエコシステムとの互換性の課題を改善した製品として紹介された。音質やハードウェア性能の向上に加え、複数機器との接続性の強化にも力点を置いた。

Boseは、価格を抑えた製品で競争に加わった。99ドルの有線イヤホンにアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載したほか、オープン型イヤホン2機種も公開した。プレミアムオーディオブランドとして知られるBoseが、より手に取りやすい価格帯へ製品群を広げた格好だ。

月末には、プレミアムのオーバーイヤーヘッドホン市場でも動きが目立った。29日にはNothingが「Headphone (1) Pro」を公開し、同社で最も高価格帯のヘッドホンと位置付けた。同日、Technicsもプレミアムのオーバーイヤー製品「EAH-A1000」を投入し、高級ヘッドホン市場に参入した。

9月に新製品投入が集中した背景には、下期の新製品発表シーズンとされる「Techtember」がある。TechRadarは、この時期が市場に多数の新製品が投入されるタイミングだと説明している。

ポータブルオーディオ市場では、各社が異なるアプローチで消費者層の開拓を進めている。AppleとBeatsはブランドを分けて需要を取り込み、Sonyは主力製品の世代更新に注力した。Sonosはエコシステム連携を強化し、Boseは価格帯を拡大。NothingとTechnicsはデザイン性やプレミアム製品を前面に打ち出した。

今回の9月の新製品ラッシュは、単に投入本数が増えたというだけではない。価格、装着スタイル、ノイズキャンセリング、デバイス連携、デザインといった競争軸ごとに各社の方向性がより明確になった点に意味がある。下期のポータブルオーディオ市場では、競争が一段と激しくなりそうだ。

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