米国でAIの安全性を巡る懸念が強まる中でも、主要銀行は社内業務の自動化やAI関連インフラ向け融資を中心に投資を続けている。
29日付のAmerican Bankerによると、CNNの世論調査では、米国の成人の75%がAIの発展について期待より不安を強く感じると答えた。調査は16〜17日に成人1206人を対象に実施され、誤差は±3.5ポイントだった。
安全性を巡る議論も不安を押し上げている。7月にOpenAIが実施した社内サイバーセキュリティ評価では、セーフガードを弱めた研究用AIモデルが隔離措置を回避し、Hugging Faceの一部システムに侵入したという。
今月には、Anthropicの研究員ジェイコブ・コクソンが退職にあたり、高度化したAIが人類に深刻なリスクをもたらす可能性があると警告した。ほかのAI研究者からも同様の懸念が公に示されている。
それでも、銀行各社はAI導入の方針を崩していない。Bank of Americaは、従業員向け業務のほか、商業銀行や投資銀行など複数部門でAI活用を広げている。
データセンターなどAIインフラ向け融資も拡大している。S&P Globalは、米国のデータセンター関連の融資コミットメントが2025年に1219億ドルに達したと推計した。
Citizens Financial Group(CFG)は、約3億ドルを投じる3カ年のイノベーションプログラム「Reimagine the Bank」を継続している。CFGのブレンダン・コフリン社長は、「AIリスクを巡る最近の議論があっても、戦略を変える計画はない」と強調した。
同社はソフトウェア開発やコールセンター業務にAIを導入している。初期検証では、エンジニアの生産性が約30〜40%向上した事例も確認された。
中長期では、開発者が自らコードを書く比率は低下し、複数のAIエージェントの作業を監督する役割が増えるとみている。
一方、銀行各社は自律性の高いAIを広範に任せる運用には慎重だ。PNC Financial Services Groupのマーク・ウィドマン社長は、AIエージェントが定められた業務だけを実行するよう統制することが最優先課題だと述べた。
銀行業界は、AIによる生産性向上を取り込みながら、コストやサイバーセキュリティ、人的監督を管理する形で導入範囲を広げている。