14回目の試験飛行に臨むSpaceXの「Starship」。初の軌道投入とStarlink V3衛星26機の放出を計画する。写真=SpaceX

SpaceXの大型宇宙船「Starship」が、14回目の試験飛行で初めて軌道投入に挑む。今回は新型の「Starlink V3」衛星26機の放出も計画しており、機体の飛行性能の検証にとどまらず、実運用を見据えた試験となる。

CNBCなど海外主要メディアによると、SpaceXは28日(現地時間)、米テキサス州スターベースで14回目の試験飛行を実施する予定だ。打ち上げ時間帯は午前中の約75分間。米連邦航空局(FAA)は26日、Starshipとブースター「Super Heavy」による14回目の飛行と再突入を承認した。

今回のミッションでは、Starshipを軌道に投入するとともに、Starlink V3衛星26機を放出する計画だ。これまでの試験が打ち上げや飛行中の技術実証を主眼としていたのに対し、今回は実際のペイロード投入まで踏み込む点が大きい。

Starshipは、SpaceXの中核事業であるStarlink拡大の要となる輸送手段としても位置付けられている。SpaceXは現在、約1万1000機の衛星を運用しており、競合するEutelsat OneWebの約650機を大きく上回る。

Starlinkは第2四半期時点でSpaceX最大の事業で、唯一の黒字事業とみられている。イーロン・マスク氏は8月の決算発表で、提供が認められた国・地域を中心に、将来的には世界のインターネット通信の過半を担う可能性があるとの見方を示した。

こうした構想の実現には、衛星を大量かつ低コストで軌道へ運べる打ち上げシステムが欠かせない。SpaceXがStarshipを完全再使用型として開発しているのもそのためだ。Super HeavyとStarshipを回収し繰り返し使えるようになれば、1回当たりの搭載量を増やしつつ、打ち上げコストの引き下げが見込める。

14回目の飛行は、その設計思想が実際のミッションで通用するかを占う重要な段階となる。軌道投入と計画通りの衛星放出に成功すれば、今後の大規模なStarlink打ち上げに向けた足場が整う。

Starshipの用途はStarlinkに限らない。米航空宇宙局(NASA)の今後の月探査計画でも中核的な打ち上げ機として活用される予定だ。SpaceXはStarshipを用いて米宇宙飛行士を再び月面へ送る計画を進めており、来年予定する大規模試験飛行の準備も進行している。

さらに、次世代の宇宙コンピューティング事業でも、Starshipの輸送能力が前提となる。SpaceXのグウィン・ショットウェル最高執行責任者(COO)は今月初めのAll-In Summitで、宇宙空間に「スーパーコンピューティング」を構築する構想に言及し、2027年にAI演算を担う「AIコンピュート衛星」を軌道へ投入する計画を明らかにした。

大型衛星や高出力機器を宇宙へ運ぶには、従来の打ち上げ機を上回る輸送力が必要になる。Starshipが計画通り、大型貨物を繰り返し軌道へ運べるかどうかは、こうした宇宙コンピューティング事業の成否にも直結する。

今回搭載するStarlink V3衛星も、次世代ネットワーク戦略の中核を担う。ワシントン州レドモンドの施設で生産されるV3衛星は、従来世代の2倍の発電能力を持つ太陽電池パネルを備え、機体も大型化した。加入者により高速なデータ通信を提供できるよう設計されている。

SpaceXの企業価値が約2兆ドル(約300兆円)規模と評価される中、今回の軌道投入への挑戦は単なるロケット試験にとどまらない。Starlink衛星網の拡大、NASAの月探査、AIコンピュート衛星の投入など、同社が進める複数の事業がStarshipの大容量輸送にかかっているためだ。

14回目の試験飛行の焦点は、Starshipが実際の軌道ミッションを担える段階までどこまで到達したかにある。初の軌道投入とStarlink V3衛星の放出が計画通り実現すれば、Starshipの商用活用は本格化へ向けて大きく前進する。

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