Hyundai Motor Groupは、電気自動車(EV)向け全固体電池の開発を継続する方針を改めて示した。研究開発部門トップは、5年以内に全固体電池を搭載した少量生産モデルが登場する可能性に言及した一方、原材料コストの高さから大衆市場への本格展開には時間がかかるとの見方を示した。
EV業界では、超急速充電や航続距離の延長を実現する「夢の電池」として、全固体電池への投資がスタートアップから大手自動車メーカーまで幅広く続いている。一方で、既存のリチウムイオン電池も性能向上が進んでおり、Geelyの最新電池技術では充電率10%から97%までを9分以内で充電できるとされる。こうした中でも、全固体電池の開発を続ける意義が問われている。
EV専門メディアInsideEVsが27日付で報じたところによると、Hyundai Motor Groupの研究開発責任者、マンフレッド・ハラー氏はこの点について、開発継続の必要性を明確に認めた。
ハラー氏は先週、記者団に対し「今やめることはできない。それは明確だ」「必ずこの競争に参加しなければならない」と語った。
現在のEV用電池は液体電解質を用い、正極と負極の間をリチウムイオンが移動する仕組みだ。これに対し全固体電池は、液体電解質をセラミックや高分子などの固体材料に置き換えることで、安全性と性能の両立が期待されている。ただ、自動車向けの規模で全固体セルの生産に成功した企業はまだない。
ハラー氏は、全固体電池の利点として小型化、急速充電性能の向上、航続距離の延長を挙げた。その上で、今後5年以内に全固体電池を搭載した少量生産のショーケースモデルが登場するとの見通しを示した。QuantumScapeも、2020年代末までに全固体電池を高性能車へ適用する目標を掲げている。
一方で、量産化が進む過程でも原材料コストは今後数年間、高水準で推移する可能性が高いという。ハラー氏はこのため、全固体電池の大衆市場への展開は容易ではないとの認識を示し、「最終的には解決できるが、コストがかかる。莫大なコストだ」と述べた。
Hyundai Motor Groupは全固体電池を自社開発する一方、Solid Powerなどのパートナー企業とも協業を進めている。ハラー氏は全固体電池を「現在、業界最大級の賭け」と位置付けた。Toyotaは少なくとも20年にわたり全固体電池を開発しており、今後数年内の量産を目指している。VolkswagenはQuantumScapeに大規模投資を行い、BMWはSolid Powerと連携する。General Motors、Ford、Honda、Nissanも開発を進めている。
一部企業はすでにデモ向けプロトタイプを公開している。QuantumScapeのセルを搭載したDucatiや、Factorialの技術を適用したMercedesの車両がその例だ。ただ、消費者が購入できる量産車で全固体電池を搭載した例はまだない。
ハラー氏は、技術が成熟した段階でHyundai Motor Groupが自前のサプライチェーンと製造能力を備えた形で市場参入することを目標に掲げる。「我々はこの中核技術の所有者になりたい。そのため自社の電池製造にも投資している」と述べた。
同氏はまた、電池の製造方式とコスト構造を深く理解する重要性も強調した。電池はEVで最も高価な部品であり、ほかの電動化車両にも使われるためだ。Hyundai Motor Groupは、来年初めの発売を予定する「Tafe」航続距離延長型EV(EREV)に、自社開発のニッケル・マンガン・コバルト(NCM)セルを適用する計画としている。さらに同社は最近の発表で、Tafe EREVを2027年上半期に投入する計画だと明らかにしている。
もっとも、全固体電池が大衆市場に広く普及するまでにはなお相当の時間を要する見通しだ。ハラー氏は「今から5年以内に原材料コストの問題を解決できるとは思わない」と語った。