世界のスマートフォン市場で、高価格帯へのシフトが鮮明になっている。低価格帯の構成比が縮小する一方、プレミアム機の比率は拡大している。部品価格の上昇で低価格モデルの採算が悪化していることが背景にある。
市場調査会社Omdiaが9月28日に公表した予測によると、世界のスマートフォン出荷に占める200ドル未満の比率は、前年の40.6%から2027年には25.6%まで低下する見通しだ。これに対し、800ドル以上は同21.1%から28.4%へ上昇する。2027年には、800ドル以上の出荷比率が200ドル未満を初めて上回るとしている。
価格帯別にみると、100ドル未満の超低価格帯は前年の12.6%から2027年に3.0%まで縮小する見込みだ。100~199ドルも同28.0%から22.6%へ低下する一方、200~699ドルは40~41%台を維持するとみられる。
こうした変化は、出荷台数の拡大によるものではない。Omdiaは、2026年の世界スマートフォン出荷台数が前年比12%減の10億9700万台になると予測した。一方、市場売上高は12%増の6516億ドル、平均販売価格(ASP)は27%上昇して594ドルに達する見通し。市場全体は縮小しても、販売単価は上昇する構図だ。
低価格帯の縮小を招いている最大の要因は、部品価格の上昇だ。通信業界関係者は「メモリ価格の上昇で、コスト削減にも限界がある。一定の性能を維持しようとすれば、低価格機を増やすほどメーカーの収益性は悪化しやすい」と指摘する。
Omdiaによると、2026年1~3月期には、400ドル未満のスマートフォンでメモリが部材原価全体の約60%を占めた。99ドル未満ではこの比率が64%を超えた。低価格帯ほど、メモリ価格上昇の影響を受けやすい構造が浮き彫りになっている。
このためメーカー各社は、超低価格モデルの比率を引き下げ、比較的収益性を確保しやすい中価格帯から高価格帯へ軸足を移している。2026年は400ドル以下の出荷が前年比22%以上減少する一方、400ドル以上は5.7%増える見通しだ。
メーカーにとっては、コスト上昇分を価格転嫁しにくい低価格機より、中価格帯や高価格帯に注力する方が有利とみられる。プレミアム機は、アプリケーションプロセッサ(AP)やカメラ、AI機能の強化を通じて価格を引き上げやすい。別の業界関係者は「いまは普及機でも原価負担が重く、価格を下げ続けるのは難しい。メーカーは販売台数より1台当たりの収益性を重視せざるを得ない」と話す。
もっとも、低価格スマートフォン市場そのものが消えるわけではない。価格に敏感な消費者需要は引き続き存在しており、韓国市場でも子どもの初めてのスマートフォンや高齢者向け端末、セカンド端末を意識した実用モデルの投入が続いている。
ただ、韓国の通信各社が最近投入した実用モデルの価格帯は、40万~50万ウォン台が中心となっている。韓国の通信大手3社が扱う専用端末が代表例だ。SK Telecomは7月、46万9700ウォンの「ギャラクシー・ワイド9」を発売した。KTも同月、54万5600ウォンの「ギャラクシー・ジャンプ5」を投入し、LG U+は52万8000ウォンの「ギャラクシー・バディ5」を販売している。コストパフォーマンスを訴求するモデルでも、価格はおおむね40万~50万ウォン台となっている。
一方で、高価格機は販売価格の高さにもかかわらず、市場での存在感を強めている。とりわけ100ドル未満の超低価格機は急速に縮小しており、前年は8台に1台の水準だったが、2027年には全体の3%にとどまる見通しだ。これに対し、800ドル以上は市場全体の20%台前半から30%近い水準へ上昇するとみられている。
こうした流れは、メーカーの製品戦略にも波及している。最新チップセットやカメラ、AI機能はプレミアム機へ優先的に投入され、製品差別化も高価格帯を軸に進む。Omdiaの主席アナリスト、ジュシー・ホン氏は「メーカーの戦略的な均衡点は変わりつつある」とした上で、「出荷シェアの拡大よりも、持続可能な成長、健全な製品ミックス、収益性の強化に一段と重点を置いている」と説明した。
韓国の流通現場でも、低価格機の存在感が以前ほどではないとの見方が出ている。販売店関係者は「低価格機を探す需要が完全になくなったわけではないが、以前に比べると関心は薄れている」とした上で、「今後は普及機でも機能強化が進み、一定以上の価格帯が定着する流れが続くのではないか」と話した。