ゲーム各社が新作投資の選別を一段と強めている。数年かけて開発してきたタイトルや、すでに公開済みのタイトルでも、採算が見込めなければ開発を中止する。正式リリース後も、ユーザー数や収益性が想定に届かなければ追加開発を打ち切るケースが目立ってきた。
その象徴が、Nexon Gamesが開発中止を決めた「Durango World」と、Riot Gamesが新規開発の終了を決めた「2XKO」だ。段階は異なるものの、いずれも相応の時間と費用を投じた後、今後必要となる追加コストと期待できる成果を改めて見極め、追加投資を打ち切った点で共通する。
開発途中でのプロジェクト中断や、不振タイトルのサービス終了自体はこれまでもあった。ただ、足元では開発段階にとどまらず、リリース後も人員や資本を継続投入する価値があるかを見直し続ける動きが強まっている。
◆開発継続コストが膨張
背景にあるのは、制作費と運営費の増加だ。
大型新作では、PC、コンソール、モバイルといった複数プラットフォームでの展開に加え、グローバル市場を同時に狙うケースが増えている。グラフィックスやコンテンツ品質に対する期待水準も上がり、開発人員と期間は膨らんだ。さらに、ローカライズやマーケティング、サーバー構築などの費用も重なり、正式リリースまでに必要な投資額は拡大している。
ライブサービス型ゲームでは、リリース後もコスト負担が続く。サーバー運用、カスタマーサポート、新規コンテンツ制作、バランス調整、マーケティングなどに継続的な資金と人員が必要になるためだ。一定規模のユーザーを確保できなければ、売上が伸びない一方で運営費だけが積み上がる。
Riot Gamesの「2XKO」はその典型例といえる。同作は昨年10月にアーリーアクセスを開始し、今年1月に正式サービスへ移行したが、Riot Gamesは先月、年内に新規開発を打ち切る方針を決めた。
Riot Gamesは、コアな格闘ゲームファンからは支持を得たものの、ユーザー層を十分に広げられず、新規コンテンツを追加しても事業の流れを大きく改善できなかったと説明した。開発・運営コストが売上を上回るとの判断に至ったという。
発売前のプロジェクトも例外ではない。Nexon Gamesは今月、「野生の地:Durango」のIPを継承した「Durango World」の開発中止を決めた。長期にわたって開発を進めてきた主力候補作だったが、最終的にリリースには至らなかった。
◆重視される追加投資の妥当性
プロジェクトの見方そのものも変わってきた。
いったん開発に入ったタイトルを何としても完成させるのではなく、節目ごとに品質や市場性、追加投資の規模を再評価し、基準に届かなければ別の案件へ資源を振り向ける手法だ。
Nexonは今年、こうした方針を公に打ち出してきた。パトリック・ソーデルンド会長は3月の資本市場向けブリーフィングで、支援対象タイトルが広がりすぎたとの認識を示し、収益性とグローバルでの成功確率が高いプロジェクトに資源を集中する方針を明らかにした。
その後Nexonは一部の新作プロジェクトを整理する一方、「Nakwon:Last Paradise」「Woochi the Wayfarer」などには追加投資を続けている。
NCでも同様の動きがみられる。一部の開発プロジェクトを中止した後、関連人員を別の新作やライブゲームの組織へ移し、ポートフォリオを組み替えてきた。開発中止を個別案件の終了にとどめず、人員と予算を他タイトルへ再配分する考え方だ。
判断基準も、「これまでにいくら使ったか」から「今後さらに投資する価値があるか」へ移っている。数年をかけて開発したプロジェクトでも、追加費用に見合う成功可能性が低いと判断すれば、中断の対象になり得る。
一方で、市場性があると判断したタイトルには追加の人員と予算を投じる。個々の案件を最後まで抱え込むよりも、新作ポートフォリオ全体の中でどこに資源を集中させるかが重要になってきた。
◆問われる撤退判断
プロジェクトの継続可否は、開発段階からリリース後まで一貫して見極められている。開発中は品質と市場性、リリース後はユーザー数や売上などを基に、追加投資の是非を判断する。
リリース後にユーザー数や収益性が想定を下回れば、コンテンツ追加を続けるのか、開発規模を縮小するのか、それとも新規開発を終了するのかを改めて判断する。リリース自体が投資判断の終着点ではなくなっている。
最終的には、ゲーム会社の競争力として、ヒット作を生み出す力だけでなく、可能性の低下したプロジェクトをいつ整理し、確保した資源をどこへ再投入するかを見極める力も問われるようになっている。
業界関係者は「最近は、すでに投じた費用よりも、今後かかる費用と市場性をより冷静に見極める傾向が強い」としたうえで、「可能性の低いプロジェクトを早期に整理し、人員と予算を別タイトルに振り向ける判断の重要性が高まっている」と話した。