トークン化株式のイメージ写真=Shutterstock

米証券取引委員会(SEC)は、米国株を裏付けとするトークン化株式の二次市場取引を条件付きで認める時限的な規制枠組みを公表した。対象は限定的で、銘柄数や取引量には上限を設ける。実質的には5年間の実証枠と位置付けられ、パブリックブロックチェーン上での証券取引の実用性を検証する狙いがある。

9月17日(現地時間)、ブロックチェーンメディアのU.Todayが報じた。今回の措置は、ウォール街の株式をパブリックブロックチェーン上で取引する枠組みづくりに向けた、SECの大きな一歩とみられている。

焦点は、これまで分散型金融(DeFi)で普及してきた取引手法を、規制下の証券市場の実証に取り込んだ点だ。SECは、一定の条件を満たすTSV(トークン化株式供給者)を通じた取引を認めるとともに、自動マーケットメイカー(AMM)型の流動性プールの活用も可能にした。

AMMは、従来の証券取引所の板寄せ方式とは異なり、スマートコントラクトと資産プールを使って売買を成立させる仕組みを指す。

SECはあわせて、取引基盤を支えるスマートコントラクトについて、公開され監査可能であること、さらにパブリックかつ許可不要の分散型台帳上で稼働することを条件とした。暗号資産業界が整備してきたパブリックブロックチェーンのインフラを、米上場株の実証的な取引構造に組み込む内容となる。

Strategyの会長マイケル・セイラー氏は、今回の措置を「重大なブレークスルー」と評価した。同氏は、今回のイノベーション免除によって、適格な取引環境でStrategyのMSTRとSTRCをトークン化し、米国の投資家が24時間365日オンチェーンで取引できるようになったと強調した。

セイラー氏は、これがデジタル信用と米国資本市場の双方にとって重要な変化だと述べた。従来の米株市場が所定の取引時間と既存の取引所インフラを前提に運営されてきたのに対し、今回の措置は一部の証券について、パブリックブロックチェーンを基盤とするオンチェーン市場での取引に道を開く意味を持つという。

SEC内でも、こうした方向性はすでに示されていた。ヘスター・ピアースSEC委員とポール・アトキンスSEC委員長は以前、市場参加者がパブリックブロックチェーン上でAMMや分散型アプリケーションを活用し、トークン化証券の取引を実験できるべきだとの考えを示していた。

焦点の一つは、流動性供給者の扱いだ。SECは、保有するトークン化株式をAMMの流動性プールに提供する一部参加者について、証券取引法上の「ディーラー」の定義適用を、時限的かつ条件付きで緩和する方針を示した。暗号資産市場で広く用いられてきた流動性供給の手法を、規制下の証券市場に適用できるかを検証するアプローチといえる。

もっとも、今回の公表は、すべての米国株が自由にDeFi上で取引可能になることを意味しない。SECは、TSVを通じて流通できるトークン化株式の銘柄数と取引量に制限を設ける方針で、規制緩和が全面開放に直結するものではない点を明確にした。

こうした設計を踏まえると、今回の措置は本格的な制度化というより、実証色の濃い枠組みといえる。SECは実質5年の実験枠を設け、暗号資産関連企業と既存金融機関が規制監督下で、パブリックブロックチェーンのインフラが米株市場の一部を担えるかどうかを検証できるようにした。

今後の焦点は、限定的なトークン化株式の取引が実際に流動性を確保できるか、またパブリックブロックチェーン基盤の取引構造が規制された証券市場の中で機能するかに移る。

「SECのイノベーション免除により、適格な取引環境で米国の投資家はトークン化されたSTRCとMSTRを24時間365日オンチェーンで取引できる。デジタル信用と米国資本市場にとって大きな突破口だ」

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